中間選挙で苦戦の民主党、最終兵器は「中国叩き」
共和党の得意戦術だったが
民主党はまた、中国の脅威を餌に国内支出の増加もアピールしている。中国やインドの子供たちに負けないような教育制度が必要だと求める候補者もいれば、中国が整備したような長距離の高速鉄道網をアメリカにも、とインフラへの投資を訴える候補者もいる。
中国の存在は、共和党の伝統的な主張を切り崩すのにも使える。ワーナーは、中国に負けない「強いアメリカ経済を築くためには教育やインフラ、研究開発の分野の予算を削るべきではない」と主張。アーカンソー州選出のマーク・プライアー上院議員は、対立候補が掲げる反増税は「中国にアウトソーシングする企業への税控除」を約束しているのと同じだと訴えた。
中国たたきは、長らく共和党候補者の役回りだった。中国人に職を奪われるという不安をあおるのはもちろん、中国軍がアメリカの連邦議会の前で行進する選挙CMまで作った候補者もいた。
しかし今年の選挙戦では、共和党が民主党のように中国を利用しているケースはまだ見ていない。民主党と違い、共和党には標的としての中国は必要ない。彼らにはオバマがいるからだ。
中国が良い意味で議論されているのはオレゴン州だけ。ここでは、かの国は脅威というより輸出市場として論じられている。現職に挑む候補者デニス・リチャードソンは、ジョン・キッツヘイバー州知事の中国へのごますりが足りないと語った。そう、リチャードソンは共和党員だ。
© 2014, Slate
[2014年11月 4日号掲載]