黒人射殺事件で見えた警察の軍隊化
過剰捜査は悲惨な結果を引き起こしている。10年のデトロイト市警のSWATによる家宅捜索では家屋に特殊閃光弾と防弾盾で突入。家にいた7歳の女の子が警官の銃をつかもうとして銃弾の犠牲となった。
SWATが出動するのは、黒人とヒスパニック(中南米系)が住む地域に偏っている。具体的には、SWATによる捜査対象者の半数が黒人とヒスパニックで、出動件数の68%が麻薬捜査だった。麻薬捜査の実に6割で強行突入が行われ、死傷者まで出している。
警察は新型の武器や車両に夢中だ。ニューヨーク・タイムズが述べるように、「SWATの活躍で、警官の格好や警察の自己イメージは変わった。警官募集ビデオには、警官が発煙弾と自動小銃を手に突入する場面が満載だ」。警察に武器という「おもちゃ」を与えれば、彼らは当然それを使って「遊ぶ」だろう。
ファーガソンでも警官は重火器を振り回し占領軍のように振る舞っている。黒人とヒスパニックが多数を占める地域では長年、警察は攻撃的かつ懲罰的な行いをしてきた。これに自動小銃や装甲車両が加われば、乱暴な取り締まりになるのは当然だ。
ファーガソンの悲劇はアメリカの無数の貧困地帯で繰り返されていてもおかしくない。
© 2014, Slate
[2014年8月26日号掲載]