5年ぶり解放の米兵は裏切り者か
タリバンに拘束されていた米兵が解放されたのにアメリカが怒っている訳
拘束の末 米軍にとっては裏切り者だがバーグダルにも言い分が(解放を呼び掛ける看板) Jeff Green-Reuters
アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンによって拘束されていた米陸軍軍曹のボウ・バーグダルが先週、5年ぶりに解放された。だが、この知らせに誰もが手放しで喜んでいるわけではない。
米政府はバーグダルの代わりにキューバのグアンタナモ米軍基地に拘束していたタリバンのテロリスト5人を解放した。共和党をはじめとする一部の米議員は、こうした「人質交換」はタリバンの戦力強化につながると批判。その上、バーグダルは英雄どころか脱走兵だったという疑惑が持ち上がっている。
バーグダルの小隊の一員だった元軍曹のマット・ビールカントは、バーグダルは脱走容疑で軍事裁判にかけられるべきだと、CNNに語った。
バーグダルは09年6月30日にアフガニスタンの駐屯地から姿を消し、5年にわたりタリバンに拘束されていた。現在はドイツにある米軍の病院施設に移送され、治療を受けている。
「彼が姿を消した当時はムカついたが、その後の成り行きにはもっとムカついている」と、ビールカントは言った。「バーグダルは戦争のさなかに脱走し、仲間の米兵は彼の捜索で命を落とした」。CNNによれば、アフガニスタン東部パクティカで行われたバーグダルの捜索で少なくとも6人の米兵が亡くなったという。
アメリカの戦争に幻滅?
27歳の元上等兵ホセ・バゲットはCNNに語った。「彼は警戒任務の最中にいなくなった。逃亡したのか裏切り者になったのか誘拐されたのか、誰も知らない。分かっているのは、米軍を守るべきだった彼がアメリカに背を向け、自分勝手に行動したということだ。なぜそんな決断をしたのか分からないが、私たちは彼の捜索のためにさまざまなものを犠牲にした。数人の米兵の命も犠牲になった」