ロシアとの睨み合いはバイデンに任せろ
中・東欧諸国をNATOに加盟させる東方拡大も推し進めた。当時も今も賛否が分かれる政策だが、ロシアを警戒するポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニアには大きな安堵をもたらした。
ウクライナ危機がロシアのクリミア編入にまで至ったことについては、アメリカに打つ手はなかったのか議論が分かれる。
アメリカの保守派は、プーチンの軍事介入をオバマのせいにしようとする。リビアのベンガジ米領事館襲撃事件を防げなかったことや、シリアのアサド政権に化学兵器使用を「越えてはならない一線」と警告しておきながら結局制裁しない曖昧さ。それがロシアに付け入る隙を与えたというのだ。
だが、親ロシアのヤヌコビッチ大統領がウクライナの政権の座から親EU派に引きずり降ろされたとあっては、プーチンは何があっても武力介入しただろう。それをアメリカに止められたとは思えない。
いずれにせよ、NATO拡大の推進者で無遠慮で、時に無礼でさえある副大統領のほうが、この危機に対処するのにふさわしい。感情を表に出さず、ロシア政府に対する公然たる警告も個人的な電話も無視された大統領よりもずっと。
東欧訪問中のバイデンの言葉は抑制がきいていた。だがもう少し時間がたてば、抑制どころではなくなるだろう。プーチンの時代に、品格などに構ってはいられない。