マリフアナ合法化は格差を拡大させる
貧困を抜け出す道が次々と閉ざされるなか、不毛な「自傷行為」を助長するだけ
賛否両論 米コロラド州では、2014年1月から嗜好用マリフアナの販売が解禁 Rick Wilking-Reuters
若い世代に就職を世話してあげられない時代になった。たとえ仕事が見つかっても、どうせ親の世代より稼ぎは少なく、家庭は安定せず、暗い老後だろう。
でもわれわれは決して彼らのために何もしていないわけじゃない。雇用や家庭や明るい老後の代わりに、ほかでもないマリフアナ(乾燥大麻)やポルノを残していくのだから。
コロラド州とワシントン州では2012年に、マリフアナが嗜好品として合法化された。カリフォルニア州でも医療用マリフアナは合法。ほか47州でも違法とはいえ手頃な価格で簡単に手に入る。
アメリカは1人当たりのマリフアナ消費量が世界最大というが、驚くに値しない。アメリカ人はどの国の人たちよりも酒を飲み、大食いし、車をぶつけ、自分に向けて(他人にも)銃を放つ。世界でも指折りの「危険な行為」が大好きな国だ。
それにしても、マリフアナ問題というと決まって合法化論争に陥りがちだ。その前にちょっと考えてみたい。合法化したら使用者数も消費量も増えるという事実には、誰も異論を唱えないはず。ここで現実をよく見詰めてみよう。
常用者は常用していない人に比べて、学校の成績が悪かったり学習能力に劣ったりする。仕事の出来は悪く、欠勤が多く、事故に遭う確率も高い。友達も少なく、社会の下層に属する。
厳しい現実が生む1つの「症状」
これらの問題はすべてマリフアナが原因なのかというと、そう簡単には言えない。米国立薬物乱用研究所も脳科学の観点から慎重な見解を示した。「常用者の学習と記憶における悪影響は数日または数週間続く可能性がある。......毎日吸引すると、知的能力を最大限に発揮できない状態が続くことになり得る。(とはいえ)マリフアナの長期使用が脳に及ぼす影響に関する研究結果は一貫していない」
マリフアナの常用は諸問題の原因というより、1つの症状と言えるかもしれない。学校や職場で苦労する人がマリフアナに頼るという可能性もある。因果関係はともかく、マリフアナを吸引するということは問題を抱えている証しであり、注意を喚起されるべき行為だ。