最新記事

アメリカ社会

オバマのアメリカから独立したい

大統領選の結果を見て、アメリカからの分離独立を求める請願がホワイトハウスに殺到している

2012年11月14日(水)17時52分
ケイトリン・フナーロ

建国の精神 アメリカ独立宣言に従えば、オバマ政権にもはや正統性はない Jim Young-Reuters

 バラク・オバマ大統領が勝利した米大統領選。この選挙結果と今後のアメリカの行く末に不満を抱く大勢のアメリカ人が、ホワイトハウスにある要求を突き付け始めた――わが州をアメリカから独立させよ、と。

 ホワイトハウスのホームページに設置されているオンライン請願システム「We the People」には、大統領選以降で10万人以上の署名が集まっていると、BBCは報じている。

 連邦政府からの離脱を求める請願は20州から起こっており、そのほとんどがミット・ロムニーに投票した有権者が多数を占める南部を中心とした共和党支持者優勢の州。だが民主党優勢の北東部の州もいくつか含まれている。

 ワシントン・ポスト紙によれば、請願を提出しているのはアラバマ、アーカンソー、コロラド、フロリダ、ジョージア、インディアナ、ケンタッキー、ルイジアナ、ミシガン、ミシシッピ、ミズーリ、モンタナ、ニュージャージー、ニューヨーク、ノースカロライナ、ノースダコタ、オレゴン、サウスカロライナ、テネシー、テキサスの各州の住民だ。

 テキサス州知事のリック・ペリー(共和党)の報道官キャサリン・フレーザーは今週、ダラス・モーニング・ニューズ紙に、知事は離脱の動きを支持しないとの声明を送った。「ペリー知事はアメリカ合衆国の素晴らしさを確信しており、現状の仕組みを変えるべきではないと考えている」と、フレーザーは述べた。

「建国の父の信念に基づく」

 ワシントン・ポスト紙によれば、請願の大多数は1776年のアメリカ独立宣言の一部を引用している。「政府の正統性は国民の同意に基づく。いかなる政府であってもこの原則に反した場合、国民は政府を変更・廃止して新たな政府を樹立できる」

 つまり、建国の父の考えに従えば、国民の同意を得られないアメリカ政府からは独立してもいい、というわけだ。「大きな政府」を嫌う彼らにとって、オバマ政権はアメリカ人の自由や権利を脅かしているように映るらしい。

 たとえばテキサス州は請願で、テロ対策のために大きな予算を割き、個人のプライバシーや移動の自由を制限するオバマの「大きな政府」は「目に余る権力乱用」だと糾弾する。

「テキサス州の財政が健全であり、世界第15位の巨大経済圏であることを考えると、テキサスがアメリカ合衆国から分離独立することも実現可能だ。そうすることが、州民の生活を守り、州民の権利と自由を保障することにつながる。これらは建国の父らの信念に基づくものだ。現在の連邦政府は、もはや彼らの信念を反映してはいない」。テキサスの請願はこう主張している。

 ホワイトハウスは2万5000人以上の署名が集まった請願には必ず回答する決まりだが、テキサス州はすでにその条件を満たしている。ちなみにテキサスでのロムニーの得票率は、オバマ票を15ポイントも上回っていた。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、日本人の短期ビザ免除を再開 林官房長官「交流

ビジネス

独GDP改定値、第3四半期は前期比+0.1% 速報

ビジネス

独総合PMI、11月は2月以来の低水準 サービスが

ビジネス

仏総合PMI、11月は44.8に低下 新規受注が大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中