ウィキリークスが暴くアメリカ陰謀説の嘘
メキシコとの微妙な関係が壊れる?
それでも、中南米諸国がアメリカの干渉に敏感になっている以上、ウィキリークスの情報漏えいが今後も多大なトラブルを引き起こす可能性はある。なかでも懸念されるのはメキシコとの関係だ。
ウィキリークスによれば、メキシコ関連の文書は3000件近くあるが、これまでに公開されたのはごく一部だ。メキシコ国民と軍部は昔からアメリカの過剰な干渉に反発している。アメリカはメキシコの麻薬撲滅戦争に財政的、軍事的支援を提供し、注意深く関係を深めている。
「両国間にはさまざまな歴史があるうえ、2000マイルの国境線を有している。他の国なら大丈夫でも、メキシコとの間では問題になるテーマがある」と、前出の高官は言う。
1月に送信された「機密」扱いの文書でも、メキシコとの関係悪化がもたらすリスクが明確に語られていた。公電には、メキシコの治安当局について「視野が狭い」「リスクを嫌う」といった手厳しい表現が満載。「役人の汚職が蔓延している」というメモもあった。
ただし、公電の最後には楽観的な言葉もある。「メキシコ軍部と我々の絆はかつてないほど強まっている。こうした小さなチャンスをうまく活用すべきだ」
今回、汚職の蔓延が暴露されたことで、両国の絆に再びヒビが入るかもしれないが。