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教育教師に成果主義、NY市長の挑戦
パット・ウィンガート(ワシントン支局)
教育改革の未来に関するパネルディスカッションで、ニューヨークのブルームバーグ市長は野心的な改革案を進めると発表した。
■教師の評価制度を全面的に見直し、生徒の成績データも反映する。
■低所得者層が通う学校で、数学、科学など人材不足の分野で優れた実績を残した教師を昇給させる。
■レイオフの際は、対象教師の年齢は無視して功績を重視する。
■能力の低い教師の解雇を容易にする。
■1年間の履修内容を増やす。
■チャータースクール(公的助成は受けるが独自の教育方針を認められた学校)の設立制限を撤廃し、施設への投資を増やす。
■成績が下位10%の学校を4年以内に廃校にし、能力が高い教師を赴任させて新たに開校する。そのための費用は、失職した教師に市から無制限に給料を支払うよう定めた組合規則を改正して捻出する。
生徒の成績を教師の評価基準に含めるべきかどうかはここ数年、アメリカで議論の的となっている問題で、全米の教職員組合から激しい反発を呼んでいる。
しかし、本気で教育改革を考える人はブルームバーグの案に異議は唱えないだろう。一方で、州内最強の組合とみられるニューヨーク市教職員組合を相手に、簡単に実現できるとも思えない。
市が改革を実現できれば、オバマ大統領が教育向上のために設けた支援金から1億5000万ドルを受け取れる可能性がある。「この現状で政府の資金を放っておく余裕はない」と、ブルームバーグ。「支援金獲得に乗り出さない州は、ハイブリッド車に手を出さなかった自動車メーカーのように雇用と利益を失うだろう」
[2009年12月 9日号掲載]