最新記事

教育

教師に成果主義、NY市長の挑戦

パット・ウィンガート(ワシントン支局)

2009年12月7日(月)12時03分

 教育改革の未来に関するパネルディスカッションで、ニューヨークのブルームバーグ市長は野心的な改革案を進めると発表した。

■教師の評価制度を全面的に見直し、生徒の成績データも反映する。

■低所得者層が通う学校で、数学、科学など人材不足の分野で優れた実績を残した教師を昇給させる。

■レイオフの際は、対象教師の年齢は無視して功績を重視する。

■能力の低い教師の解雇を容易にする。

■1年間の履修内容を増やす。

■チャータースクール(公的助成は受けるが独自の教育方針を認められた学校)の設立制限を撤廃し、施設への投資を増やす。

■成績が下位10%の学校を4年以内に廃校にし、能力が高い教師を赴任させて新たに開校する。そのための費用は、失職した教師に市から無制限に給料を支払うよう定めた組合規則を改正して捻出する。

 生徒の成績を教師の評価基準に含めるべきかどうかはここ数年、アメリカで議論の的となっている問題で、全米の教職員組合から激しい反発を呼んでいる。

 しかし、本気で教育改革を考える人はブルームバーグの案に異議は唱えないだろう。一方で、州内最強の組合とみられるニューヨーク市教職員組合を相手に、簡単に実現できるとも思えない。

 市が改革を実現できれば、オバマ大統領が教育向上のために設けた支援金から1億5000万ドルを受け取れる可能性がある。「この現状で政府の資金を放っておく余裕はない」と、ブルームバーグ。「支援金獲得に乗り出さない州は、ハイブリッド車に手を出さなかった自動車メーカーのように雇用と利益を失うだろう」

[2009年12月 9日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中