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アメリカ政治

ペイリン辞任の理由は借金か

2009年7月23日(木)14時28分
マーク・ホーゼンボール(ワシントン支局)

本音はどこに ペイリンは借金返済をめぐるトラブルでマケイン陣営を恨んでいる とか(7月3日の知事辞任会見、テレビ映像から) Reuters

 サラ・ペイリンに近い筋によれば、彼女がアラスカ州知事を辞任する主な理由の1つは未払いの弁護費用にあるという。ペイリンは「さまざまな倫理調査に掛かる費用」を懸念していると、現副知事で後任となるショーン・パーネルは言う。だが、本当に借金問題が理由で知事を辞めるのだろうか。

 ペイリンが弁護基金や政治活動委員会(PAC)を創設する際に手助けしたジョン・コール弁護士によれば、大統領選期間中に生じた50万ドルとその後に発生した10万ドルの負債について、同基金は「順調に」返済しているという。とすると、金銭的な悩みが辞任の決断にどれだけ影響したのか疑問が湧いてくる。

 確かなのは、ペイリンがジョン・マケイン陣営をひどく恨んでいるということ。副大統領に指名された当時、ペイリンは人事への不適切な介入など州の倫理規定違反を指摘されていた。マケイン陣営は、彼女がその弁護費用を州の基金から支払っていたことが倫理問題になることを憂慮し、弁護士への支払いを停止させた。

 事態が険悪になったのは、ここからだ。コールによると、マケイン陣営や共和党全国委員会は「債務を肩代わりする」と約束していたが、結局支払いを行わず、それが原因でペイリンの債務はさらに膨れ上がったという。

 だが元マケイン陣営の2人(波風を立てたくないと匿名を希望)は、そんな約束はなかったと語っている。本誌はペイリンの弁護士と広報担当、共和党全国委員会にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

[2009年7月29日号掲載]

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