「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
Astronomers Discover Most Distant Milky Way-like Galaxy

ビッグバンから10億年でここまで? 「ジューロン銀河」が覆す宇宙の常識(画像はイメージです) Bryan Goff-Unsplash
<ビッグバンからわずか10億年後、すでに巨大で成熟した構造をもつ渦巻銀河が存在していた──天文学者が、これまでで最も遠くにある渦巻銀河の候補「ジューロン」を特定した>
宇宙空間にある数々の銀河の形成・進化過程に関するこれまでの理解を塗り替えるような発見があった。天文学者が、これまで観測された中で最も遠くにある渦巻銀河の候補を特定したのだ。これは、非常に大きく成熟した構造を持つ銀河だが、ビッグバンからわずか10億年後という非常に初期の頃に形成されたという。
中国の神話に出てくる龍の名前にちなんで、ジューロン(Zhúlóng=燭龍)と名付けられたこの銀河は、スイスのジュネーブ大学(UNIGE)が主導する国際チームにより、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)からのデータを用いて発見された。
ジューロンは非常に古い銀河だが、一方で、宇宙の年代においてはかなり後の時期にみられる銀河の特徴を示している。中央部には、古い星からなるふくらみ(バルジ)があり、その周囲に新しい星を含む扁平状の回転する部分(ディスク)も確認された。さらにその外には、はっきりとした渦を巻く腕状の部分がある。これは、私たちの地球が属する天の川銀河などの渦巻銀河の大きな特徴だ。
論文の著者で、ジュネーブ大学所属の天文学者、メンユアン・シャオは、以下のように述べた。「われわれは、この銀河をジューロンと名付けた。これは、中国の神話に出てくる、強い力を持つ赤い太陽の龍「燭龍」を意味する言葉だ。この龍が目を開くと昼になり、目を閉じると夜になる。光と宇宙的時間を象徴する存在だ」
「ジューロンが抜きん出ているのは、天の川銀河と大変よく似ているところだ。これは、形、大きさ、恒星の質量という要素に関して当てはまる」