「神童」の能力だが、認知症の老人でもある...AIが人間の医師には「絶対勝てない」理由
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MoCAは簡単なタスクを与えることで多領域における認知機能を調べるテストで、満点は30点。例えば立方体のイラストを「なるべく正確に描き写せ」とか、「Fで始まる単語をできるだけ多く述べよ」とか、「100から7ずつ引き算をせよ」といったタスクが課される。
すると、意外にも満点を取れた生成AIは1つもなかったという。ほとんどは18〜25点で、人間なら軽度の認知症が疑われるレベルだ。どれも注意力と記憶力は抜群だったが、視空間認知(立方体を描き写す作業など)は出来が悪かった。
さらにダヤンのチームは、ボストン失語症診断検査(BDAE)の「クッキー泥棒」のイラストを生成AIに解釈させた。
キッチンで母親が皿を洗っている背後で、少年が椅子の上に立って棚の上のクッキーに手を伸ばしている絵で、被験者がこの状況をどのように説明するかによって言語能力を評価する。
AIモデルはイラストの一部の部分は正しく解釈できたが、椅子が傾いて少年が転びそうになっていることに言及したAIは1つもなかった。人間の場合だと、こうした状況に対する認識の欠如は、前頭側頭型認知症(FTD)が関係していると評価される。