セックスでも子育てでも「メスの優位」こそが社会的調和の要因...サルから学ぶ「男女平等のメリット」
ANIMAL INSTINCTS
女性が強ければ社会は平和
彼らは安定したペアを形成せず、誰もが誰とでもセックスする。オスの体はメスより15%ほど大きく、メスは性器に膨らみがあるので容易に区別できる。
オスとメスでは行動も異なり、別々のグループを形成し、毛づくろいや餌の分配には序列があり、メスが上位に立つ。授乳期の子育てはメスの担当だが、やがて乳離れし、体も大きくなってくればオスが子育ての義務の大半を引き継ぐ。
オスとメスの見た目がほぼ同じで性的にも社会的にもモノガミーを堅持するドウイロティティと、一目でオスとメスの区別がつき性的に奔放なバーバリーマカク。およそ真逆な存在と思えるが、実は一般的な霊長類とは異なる重大な共通点がある。
まず、どちらもオスが子育てに献身的に参加している。そしてどちらの種でもメスが高度な自立性を持ち、交尾の相手を選ぶ側にある。
たいていの哺乳類ではオスが支配的・攻撃的で、セックスを強要する側にあり、メスは耐える側だ。しかしこの2種では、社会的にはメスのほうが強い力を持っている。
いささか美化した言い方になるが、どちらの種もオス・メス平等を旨としており、だからこそ平和的に暮らせるのではないか。
ドウイロティティの作る集団は核家族で、バーバリーマカクの集団は大規模な混合家族だが、共に全員が仲良く協力し合っていて、性的な争い事はほとんどない。モノガミーでも多夫多妻でも両性の平和共存は可能ということだ。