強力な視覚体験に支配される「ミラサォン」とは何か?...アヤワスカの科学的研究
このプロトコルのヒントとなったのは、米国人神経科学者スティーヴン・コスリンがハーバード在学中に行なった古典的な研究であり、これにおいてコスリンは、視覚的なオブジェクトを想像することが、精神的な努力に比例して一次視覚野を活性化させることを示した。
アラウージョの研究の結果について説明する前に、1つ言及しておきたいことがある。わたしはこの実験の設計と、アラウージョが当時教授を務めていたサンパウロ大学リベイラン・プレト校の病院での最初のデータ収集作業に参加している。
わたしがこのとき痛感したのは、病院内に設置された磁気共鳴スキャナーの中にアヤワスカの体験を持ち込むことの難しさだ。
これが困難な理由としては、上述した生理的変化のほか、ボランティア参加者たちの信仰が挙げられる。彼らにとって、スキャニングを受けている状態で精神世界に入り込むというのは容易なことではなかった。
ボランティアたちは、サント・ダイミ教を信仰していた。サント・ダイミは、ウニオン・ド・ベジェタルやバルキーニャといった教団と並んで、アヤワスカを聖餐として用いる主要な混交宗教の1つだ。
アマゾンの熱帯雨林のシンボルに根ざしたこの混交宗派を実践する人たちにとって、魂が苦悩して頻繁に肉体を離れると信じられている病院という環境にいることは、とりわけ大きな負担となる。
アヤワスカを摂取する前後のデータを比較したところ、視覚、エピソード記憶の回復、意図的・予想的な想像に関連する脳皮質のさまざまな領域において、脳活動の増加が見られた。
その視覚領域は、夢や精神病性の幻覚を見ている最中に活性化される領域と一致しており、さらには、解剖学的に網膜に最も近い皮質領域である一次視覚野の活動は、アヤワスカ摂取後に体験される精神病のような症状と強い相関を示していた。
加えて、脳の異なる部位の間の関係にも有意な変化が見られ、脳活動の大々的な機能的再編成が起こっていることが明らかになった。
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