フェイスブックに内部告発「ザッカーバーグが知っていたこと、やらなかったこと」
What Zuckerberg Knew
米CBSテレビの番組でインタビューに応じるフェイスブックの元社員フランシス・ハウゲン(右) ROBERT FORTUNATO FOR CBS NEWSー60MINUTESーREUTERS
<分断をあおるメディアを放置してきたと元社員が告発。利益を優先し、ユーザーエンゲージメントの低下を恐れて改革を怠ったという。いま、フェイスブックが窮地に立っている>
ウオータースポーツを楽しむときに、なぜ顔が真っ白になるくらい日焼け止めを塗るのか──マーク・ザッカーバーグの最近のフェイスブックへの投稿は、そんなたわいないものばかりだった。
だが10月5日の夜、フェイスブックCEOのザッカーバーグは、1カ月ほど前から自社に巻き起こっていたスキャンダルにようやく言及した。
発端は9月。フェイスブックの元社員フランシス・ハウゲンによる、大量の内部文書のメディアや米議会関係者へのリークだ。
彼女は10月5日、米上院商業委員会の小委員会で証言。フェイスブックの内部調査で、インスタグラムが若いユーザー、特に10代の女性たちのメンタルヘルスや自分の体に関するイメージを悪化させ、アルゴリズムを使って対立的・扇動的なコンテンツを促進しているという結果が示されていたことを明かした。
ハウゲンの批判の中心は、フェイスブックが一貫してユーザーより自社の利益を優先しているというものだ。同社は自らの成長と、ユーザーの安全と幸福のどちらを優先するかという選択を迫られた場合、大抵は自社が儲かるほうを優先しているとハウゲンは主張した。
「フェイスブックの商品は子供たちに害を及ぼし、対立をあおり、この国の民主主義を弱体化させる」と、ハウゲンは言った。「同社幹部はフェイスブックやインスタグラムの安全性を高める方法を知っているのに、利益を優先して必要な改革を行っていない」
この日の夜、ザッカーバーグはフェイスブック上でこの指摘に反論。これまで安全性や透明性の向上に取り組み、自社の展開するプラットフォームがユーザーに及ぼす影響を調査してきたと投稿した。
ザッカーバーグは「ユーザーより利益を優先」というハウゲンの主張に、こう反論した。
「当社が利益を優先して、意図的に怒りをあおるコンテンツを作っているという主張は、全くばかげている。人を怒らせたり、気分を落ち込ませたりする商品をわざわざ作るテック企業などない」
確かに公開されている情報によれば、ザッカーバーグは利益を優先して「意図的に」有害コンテンツを促進しようとはしなかった。否定的な感情をあおるような商品を「わざわざ」作ってもいない。
軌道修正を怠ってきた
ハウゲンも、内部文書を報じたウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)も、ザッカーバーグは多くのケースで善意に基づいて判断を下してきたと評価する。ただそれが、意図したとおりに進まなかったとしている。