日本はわずか5% DX時代に必須のCDOとは何か?
CDOは地味でアナログな仕事
――では、DXに向けて企業は何をすべきだろうか。
よくある誤解ですが、CDOを雇えば魔法のようなツールや手法を用いて、さっと一振りでビジネス全体をデジタル化してくれると思っている人がまだまだ多い。
もちろん、デジタルシフトにはデータやツールの導入は欠かせませんが、最も重要なのは社員へのデジタル教育です。例えば、マーケターがデジタルを活用した新しい販売戦略を立てても、それを実行し、うまく回していくには、さまざまな部署との連携が必要になります。
それまでほとんどやっていなかったECを本格的に運用するならば、それに応じた流通体制を整えなければいけないし、生産や倉庫運営も見直さなければならない。実店舗もECを意識した販売にシフトしていくことになるでしょう。
このように、ある部分をデジタルに変えただけでも、そこからさまざまな問題・課題が派生し、至るところで変化が求められるようになる。
だからこそ一見デジタルに関係しない部署も含めて社員全員が、同じ目線でデジタルシフトへ向かっていくために、デジタルの知識だけでなく、多角的な視点がこれからのCDOは必要になっていくでしょう。全部署の仕事や機能をきちんと理解していなければ、DXなんて夢のまた夢です。
もう一つは、人と人とをつなぐハブ的役割。自ら社員と積極的にコミュニケーションをとって、デジタルシフト移行への問題点を洗い出し、部署関係なく社員同士、さらに外部の人間ともつないでいく。
どちらも、「人に興味を持ち、人を理解しようとする姿勢」がなければ成り立たない。CDOは意外と地味でアナログな仕事なんですよ(笑)。
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