新型コロナウイルス感染追跡アプリ、期待のブルートゥース型に見えた課題
プライバシー保護
全地球測位システム(GPS)や携帯電話の基地局データを用いる追跡方法に比べると、ブルートゥース型のアプリはプライバシー保護に配慮している。ブルートゥースを用いて近距離にあるスマホ同士で暗号化された仮名の信号をやり取りし、スマホ上に接触歴を残す方法なので、ユーザーの名前や電話番号は公開されない。
新型コロナの陽性が確認された人物の近くに一定時間以上いた人には、スマホから警告が発せられる。インドのアプリにはその他の機能もあり、GPSデータを用いて感染クラスターの特定も行う。
シンガポールやインドでは、ある程度プライバシーを犠牲にしてでもアプリを喜んで使いたいという人もいる。
ベンガルールでIT企業に勤める男性は「今はプラバシーは気にならない。少なくともこの危機の間はね」と語り、ロックダウン(都市封鎖)が緩和されればもっと頻繁に使いたいと話した。
しかしインドでは最近、政府と少数派イスラム教徒との緊張が高まっているだけに、プライバシーは重要な争点だ。
性的少数者(LGBT)の権利を求める活動家は「政府がいつ、個人情報を出せと求めてくるかという疑念は常にある」ため、アプリをダウンロードしていない。
バックグラウンド問題
シンガポールのトレース・トゥギャザーを巡っては、アップルのiPhone(アイフォーン)で「バックグラウンド」で作動しないことに、大きな不満の声が上がっている。つまり、常にアプリを開けておく必要があるため電力を消費する上、他の作業中に邪魔になることがある。アップルはセキュリティー上の理由から、アプリがバックグラウンドでブルートゥースにアクセスするのを許可していない。
アップルはグーグルとの共同開発で、この問題を解消するツールを導入すると約束している。ただ、位置データ利用を一切しないことや、アプリの利用は強制されないといった条件を順守するアプリだけに適用する予定だ。
【関連記事】
・東京都、新型コロナウイルス新規感染47人確認 都内合計4106人に
・武漢ウイルス研究所、新型コロナ製造説を否定「ゲノム中に人為的な情報はない」
・ベルギーの死亡率が世界一高いといわれる理由、ポルトガルが低い理由.......
・英、子供が炎症で死亡 川崎病と似た症状も、新型コロナウイルスとの関連調査へ
2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。