2045年までに化石燃料全廃 カリフォルニア州知事への称賛と批判
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共和党の支持も仰いで
難問の核にあるのは、後先を考えずに生産と消費と収益の絶え間ない成長を求めるグローバル資本主義。ブラウンはこの根本的な問題から逃げずに議論しようとする。そこが他の指導者とは違うところだ。
「経済成長は自然と共生できる形、(少なくとも)脱炭素と連動する形に変えなければならない」とブラウンは考える。だが、大衆は成長を求めるから「経済を成長させられない指導者はその地位に長居できない」。
生活習慣も手ごわいとブラウンは言う。カリフォルニア州民が車を運転して移動する距離は、年間で延べ5000億キロ近くに及ぶ。州は電気自動車の導入を推進し、公共交通機関を拡充するなどの対策を進めるが、莫大な燃料の大半が石油で賄われているのが現状だ。
そして、アメリカ人の自動車依存を脅かす政治家に未来はない。カリフォルニア州の共和党議員と石油業界は結託し、ブラウンが成立させたガソリン1ガロン当たり12セントの増税を廃止させようとし、これを11月の中間選挙の争点としている。
一方、環境活動家はブラウンが2万件の油井の掘削を承認したことで、今後数十年は石油の生産量が減らないだろうと批判する。対してブラウンは、カリフォルニアにおける石油産出量は減少傾向にあるとし、「3年連続で減り、1985年に比べれば56%も減った」と言う。
ブラウンはキャップ・アンド・トレード方式が産出量を減らすのに貢献したと考える。企業に対して温暖化ガスの排出量上限を決め、その過不足分を売買させる制度だ。
だが「環境保護派がこの制度に反対するものだから」、30年までの延長を成立させるには「共和党の支援を仰がねばならなかった」と、ブラウンは皮肉交じりに語った。
「環境保護派」の一部は、SB350から州内の石油産出量を30年までに50%削減するという条項が削られたことでもブラウンを非難している。
「法案に賛成しておいて、州知事はおじけづいた」と、消費者団体コンシューマー・ウオッチドッグのジェイミー・コート会長は手厳しい。
こうした批判にブラウンは、石油産出量の削減条項を落とさなければSB350の通過に必要な票を確保できなかった、と反論した。「世界最強の産業の売り上げを半分に減らしますとカリフォルニア州が発表して、反発が起きないわけがない」。記者会見でそう語っている。