最新記事

トレンド

絵文字フィーバー日本から世界へ

2016年1月6日(水)16時40分
マット・アルト

 LINEのスタンプは、商業化という意味でも絵文字の先を行っている。次々と新発売されるスタンプセットはLINEの大きな収入源。多くが大企業の商品とタイアップしてデザインされる。

いずれ普通の感情表現に

 日本の絵文字が元気を失ったのには意外な理由もある。記号や文字を組み合わせて人間の表情をつくる「顔文字」のせいだ。

 欧米で好まれる顔文字は、シンプルな笑顔やしかめっ面。しかし日本のそれはダッシュやコロンなどの記号、カタカナ、外国語の文字、学術記号などが組み合わさり、恐ろしく種類が多い。図柄も複雑で凝り過ぎて、一般向けではなくなった。

 今は絵文字人気が過熱中の国々も、いずれ日本と同じ道をたどるのだろうか。

 そうはならないと考えられる根拠がいくつかある。まず、外国での絵文字の人気は、かつての日本とは比べものにならないほど高い。日本での絶頂期は08年頃だったが、絵文字という言葉は辞書には収録されなかった。

 2つ目はユーザーの規模の違い。日本を席巻しているLINEのように、たった1つのアプリやSNSが広大な英語圏を支配できるとは思えない。

 そして最後は、日本の絵文字ブームを引っ張ったのが若い女性だったことだ。外国では絵文字ファンの性別や年齢層が限られておらず、普通の母親からドラッグの売人まで誰もが使う。

 日本での絵文字の盛衰を参考にすれば、今の熱気はゆっくり冷めていくと考えられる。その後は、感情を表現するごく当たり前の手段として定着するだろう。文字の書体を変えたり斜体にしたりするのと同じように。

 それこそ、絵文字開発者が夢見ていた未来だ。

© 2016, Slate

[2016年1月 5日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中