バブルがいつ弾けるかを推測する手がかり、「恐怖指数」の読み方
2017年11月1日の日経平均VIは「19.74」でした。これは、「市場参加者の予想の平均に基づけば、日経平均株価は『今後1年間に約68%の確率で、22,420.08円(11月1日終値)から上下19.74%の範囲(26,845.80円~17,994.35円)で変動する』だろう」という意味です。
ここで「約68%の確率で」という数値がしれっと出てきますが、これにピン!ときた人は統計通です。1標準偏差(σ)の中にデータが含まれる割合が68%のため、このような表現になっていますが......とりあえず、ピン!とこなかった人は「そういうことらしい」と思っておいて大丈夫です。
・予想変動率は「推移」で見る
日経平均VIは、ある一日の単体の数値ではなく「推移」で見ることに意味があります。たとえば、ある年の8月2日の数値は24.19で、8月9日には42.69に上昇していたとすると、「市場参加者の株価下落に対する警戒感が高まった」ということがわかります。
そして、日経平均VIは通常、20~30程度を推移します。だから、これを大きく上回ってきたら「暴落リスクを強く意識している投資家が増えてきた」とわかるのです。過去10年の日経平均VIの推移を見てみましょう。
ズバ抜けてグラフが飛び上がっているのは、リーマンショックがあった年です。市場の不安がはっきりと見て取れます。それ以外の時期は、上がっては下がり、下がっては上がり......を繰り返しています。
・セオリーどおりにはいかない
ここで、過去10年の日経平均株価の推移もあわせて見てみます。
「市場関係者がビビっていれば株価は下がり、強気なら株価は上がる」のがセオリーならば、日経平均VIと日経平均株価は「逆相関(逆の動き)」になるように思えます。しかし、双方のチャートを見るかぎり、必ずしもそうなっているわけではないことがわかります。
日経平均VIは、あくまで「市場参加者の予想の平均」に基づいたものだからです。
これを見て、もしかすると「あんまり当てにならないなぁ〜」と思ったかもしれません。しかしながら、リーマンショックで暴落する株価と、それに反して急上昇する日経平均VIには、当時の投資家たちの言葉にできない不安が見て取れるのではないでしょうか。
S&P500の予想変動率=恐怖指数
ここでようやく、冒頭で触れた「恐怖指数(VIX指数)」のお話になります。
恐怖指数、つまりVIX指数とは、日本のTOPIX(東証株価指数)にほぼ相当する存在である「S&P500指数」のオプション取引のインプライド・ボラティリティー(予想変動率)を、日経平均VIのような手法で数値化したものです(ヤフーファイナンスなどで見られます)。