ニンテンドースイッチのお墨付き...ゲーム業界×肢体不自由者の入力支援で大注目の日本企業「テクノツール」とは?
Accessing the Possibilities
作業療法士、理学療法士ら専門家とも密に連携を取りつつ、製品を当事者に「適合」させていく過程にチームの力や熱意が最も発揮されるが、その価値は福祉制度の枠組みの中では十分な評価を受けにくく、内向きになりがちな世界だという。
ゲームから広がる可能性
ATのサービス面の価値を広く知ってもらい、当事者の機会創出につなげるためにも、福祉の外の世界との接点を重視した真太郎は、ゲームメーカーなど異業種とのコラボに積極的に乗り出した。
社会にインパクトを与える起爆剤となったのが20年、ゲーム周辺機器メーカーのホリが開発し、テクノツールが監修したニンテンドースイッチの「フレックスコントローラー」だ。
手前にはジャックが16もあり、手の可動域が狭くても押せる大きなボタンや、軽い力で動くジョイスティックなど外部補助器をあれこれ接続し、個々が使いやすいコントローラーを自作する設計になっている。
このコントローラーは、ニンテンドースイッチ公式のお墨付きを得て、国内外でヒットした。
アクセシビリティーを得て天才的なゲームセンスを開花させた当事者もいる。
筋力が衰退するデュシェンヌ型筋ジストロフィーの梶山紘平は寝たきりだが、視線入力や頰を膨らませるわずかな力でコントローラーを巧みに操作し、愛好者が高難度で「死にゲー」と呼ぶフロム・ソフトウェアの『エルデンリング(ELDEN RING)』を全クリアしたという。
「適切なデバイスを手に入れたことで絶対このゲームをクリアしてやる、みたいな能動性が生まれた」と干場は話す。