気候変動「脆弱国」の厳しい現実...「最悪の干ばつ」に苦しむアフリカの小国マラウイを洪水が追い打ち
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過去数十年で最悪の干ばつに見舞われたアフリカ南部の小国マラウイは、雨期が到来したことで今度は洪水や地滑りなどの災害に備えなければならない。写真は南部チクワワ地区で、トウモロコシ畑に農薬を散布する現地の農家。2018年3月撮影(2025年 ロイター/Eldson Chagara)
過去数十年で最悪の干ばつに見舞われたアフリカ南部の小国マラウイは、雨期が到来したことで今度は洪水や地滑りなどの災害に備えなければならない。南部チクワワ地区で農業を営むマクスウェル・ヌソナさん(50)は、干上がった川底に立ち、10年前もこの乾ききった砂地が集中豪雨によって激流へと一変した光景を思い出していた。
干ばつを悪化させたのは海面水温を上昇させるエルニーニョ現象で、こうした異常気象は地球の気候変動がもたらした公算が大きい。
そしてマラウイは雨を切望しているとはいえ、干ばつから解放されても別の危険がやってくる。逆に海面水温を低下させるラニーニャ現象が近く発生し、降水量が増大して洪水、土壌浸食、地滑りにつながる恐れがあるからだ。
ヌソナさんら農家も手をこまねいてきたわけではない。
川に沿って堤防を築き、石や植林でこれらを補強。「約10年前に3人が死亡した洪水の後でわれわれは解決策を見つけ出そうと決意した。すきやシャベルを使って川の流れを変えようとしたし、掘削機で150メートルの堤防を整備した。だが、この地区を襲ったサイクロン『アナ』と『フレディ』で流されてしまった」とヌソナさんは語る。
アナは2022年、アフリカで20年来最強とされたフレディはそのほぼ1年後、マラウイに襲来した。