気候変動「脆弱国」の厳しい現実...「最悪の干ばつ」に苦しむアフリカの小国マラウイを洪水が追い打ち
現在もサイクロンシーズンが既に始まっており、昨年12月14日にはマラウイ国民の携帯電話には災害管理省からの警告音が鳴り響いた。サイクロン「チド」が接近し、豪雨と洪水の危険が生じたためだ。
同省からは、可能ならば高台に避難するようメッセージが送られた。アフリカ大陸東海岸沖のフランス領マヨットに大きな被害をもたらしたチドはその後マラウイを直撃し、少なくとも13人が死亡したほか、家屋を破壊し、多くの集落が食料と水、医薬品なしの状態に置かれた。
<雨が降っても問題>
マラウイは昨年3月、干ばつによって穀物の生育が大打撃を受け、人口の20%に当たる570万人前後が食料不安に見舞われたことで、非常事態を宣言した。
昨年終盤にはようやく雨が降り始めたものの、降ったら降ったで農業という生活手段が立ちゆかなくなった人々にさまざまな問題をもたらした。
11月には旧首都ゾンバ付近の地域が強風と豪雨に見舞われ、家屋が損壊したほか、干ばつに耐えて人々の食料になっていたマンゴーの樹をなぎ倒してしまった。
被災地近くで暮らす7児の母のハンナ・ウェティマさん(52)はトムソン・ロイター財団に「今年はこれまでで最も苦しい。私たちの(栽培していた)穀物が全て干ばつでだめになってしまったからだ」と語り、モロコシに似た野草の種を探してきて食料にしていると付け加えた。