朝食で使った容器を肥料化し、野菜を育てる...スーパーホテル富士河口湖天然温泉の「資源循環システム」とは?
edishと資源循環イメージ
<昨今、ホテル業界ではフードロスに対する取り組みが積極的に行われている。スーパーホテル富士河口湖天然温泉では、肥料などに再利用できる容器を朝食に導入し、地域にも貢献する資源循環の仕組みを構築した>
世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。
朝食で使った容器をアップサイクルする仕組みを確立
2021年7月に開業したスーパーホテル富士河口湖天然温泉は、近隣の農家や企業と連携して、朝食からの廃棄物を活用したアップサイクルに取り組み、食品ロスの削減や資源循環の構築を目指している。
具体的な取り組みの一つが、「edish(エディッシュ)」の導入だ。edishとは、食物由来の素材で作られた食器で、使い終わった後は肥料や飼料に利用することができるものだ。
まず、ホテルの裏に設置したコンポスト装置を用いて、朝食で使用されたedishや、廃棄される食材を堆肥化。できあがった堆肥は近隣の農家で再利用してもらい、そこで育てられた野菜をホテルで販売するという資源循環型モデルを構築した。
「日常的に生じる食品廃棄物の問題を解決するため、地域と協力して環境に優しい方法で食品ロスを減らしたいという強い思いを以前から抱いており、ホテル業界としてできることを模索した結果、地元農家との連携したアップサイクルが実現可能となりました。
そこには、ホテルから生まれる地域資源を無駄なく活用することで、持続可能な社会の実現に貢献したいという意志が根底にあります」と、株式会社スーパーホテル 経営品質本部 サステナビリティ推進室の迫田耕太郎氏は語る。
現在は、使用済みのedishを回収・保管し、株式会社FTNに協力を得て、炭化するというシステムにアップデート。炭になったedishは近隣の農地で土壌改良などの用途で利用されている。
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