7時間以上を家事や介護に費やす中学生も...日本イーライリリーが挑む「ヤングケアラー支援」
製薬企業だからこそできることを...日本イーライリリーが示す未来への道
「ヤングケアラーを取り巻く環境改善プロジェクト」の背景には、社員の熱意と同社の理念があると、プロジェクトを担当する川副祐樹氏は語る。
「私たちは『世界中の人々のより豊かな人生のため、革新的医薬品に思いやりを込めて』という使命のもと、日本では50年に渡って成長を続けてきました。このプロジェクトは、子どもたちの豊かな未来を支える重要な活動として、経営陣を含めた会社全体でコミットしています。これまでに、のべ1000人以上の社員が関わってきました。ヤングケアラーは薬局やクリニックに足を運ぶ機会も多いため、今後そうした医療業界での認知向上が、私たちだからこそできることだと考えています」
日本イーライリリーが重視しているのは「独りよがりの活動をしないこと」だ。
「可哀想だとは思われたくない」という子どももいれば、「ケアを誇りに思っている」という子どももいる。また、「友達には言えず孤独を感じる」という子どももいる。それぞれの状況に応じた支援を行うため、同社は支援団体と意見を交わしながら慎重に活動を進めている。
ヤングケアラーを取り巻く問題は日本だけに限らない。HIV/AIDSの影響が深刻なアフリカのサハラ以南では、子どもたちが家族のケアを担うケースが多発しており、深刻な社会課題となっている。一方で、イギリスでは2014年に「子どもと家族に関する法律」が制定されるなど、問題解決に向けた先進的な取り組みが進められている。日本イーライリリーの活動は、他国にとっても参考になるだろう。実際に同社はアメリカ本社やイギリス支部と連携し、日本での取り組みをグローバルに発信している。同社の活動が、世界中のヤングケアラー支援に繋がることが期待される。
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