産業植林・環境保全・地域発展を同時に実現...住友林業の熱帯泥炭地プロジェクト
「歴史」と「革新」が生み出した泥炭地保全モデル
1691年創業の住友林業は、長い歴史の中で森林管理や木材供給を担ってきた。明治時代には、大規模な山林開発による荒廃を受けて「保続林業」の理念を掲げ、森林再生に注力してきた。
この理念は、同社が2009年にインドネシア・カリマンタン島で始めた森林経営にも息づいている。泥炭地の環境を保全しながら植林を成立させるため、住友林業は独自の「貯水型泥炭地管理」という手法を開発した。
まず、河川も含めた地形や生態系を調査し、約14万haを保護エリア、約3万haを木材生産エリアとしてゾーニングした。生産エリアには、「棚田」を連想させる細やかな水路を設計し、乾期でも上流の水を供給することで地下水位を一定に保つことに成功した。こうした持続的な植林事業は、違法伐採や焼き畑に代わる地域住民の生計手段にもなっている。
さらに、「緑の回廊」を設定することで自社の事業対象地の外側にまでまたがる生態系ネットワークを形成し、希少動物が自由に行き来できる環境を用意した。その甲斐あってか、2020年には、保護エリアでのオランウータン個体数の増加が確認されている。
「自然」「社会」と支え合う植林事業の価値
住友林業の森林経営の特徴は、木材生産の収益性追求だけでなく、環境保全と地域社会の発展を両立させることにある。この植林事業は、自然インフラ・社会インフラと密接に関わっている。持続的な森林経営は、生物多様性や水土の保全のみならず、雇用創出など地域の発展にも貢献している。
今後、住友林業はインドネシアでの泥炭地植⽣回復をさらに強化し、その管理手法を標準化する方針を掲げている。2024年からは、ジョコ大統領の支援要請に応じ、中央カリマンタン州のメガライスプロジェクト跡地で約1万haの荒廃した熱帯泥炭地を修復・管理する事業を開始している。
住友林業の活動は、持続可能な森林保全と地域経済の発展を両立させる先駆的なモデルとして評価されており、今後も地球規模の課題解決に向けて重要な役割を果たしていくことが期待される。

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