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書籍の「切れ端」で資源循環の大切さを伝えたい...大日本印刷(DNP)が手がけるアップサイクルアートとは?

2024年11月19日(火)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

グループとしての環境対策を「さらに進化させる」ための取り組み

大日本印刷の「ほんの切れ端」

一点もののアート作品に仕上げられた「ほんの切れ端」

誤解のないように付け加えておくと、DNPグループではアップサイクルアートを手がける以前から、書籍の切れ端をすべて古紙としてリサイクルし、環境負荷の低減に努めている。つまり、このプロジェクトは「新たにスタートさせた環境対策」ではなく、グループとしての環境対策を「さらに進化させるための取り組み」でもあるのだ。

「リサイクル用の紙資源をさらに有効活用して持続可能な社会に貢献することと、アップサイクル商品を通じて生活者に資源循環の大切さを伝えること。この2つが取り組みの大きな目的です。アートとして楽しむのはもちろん、メモ帳やノートとして書き込むことも可能なので、端材の新たな価値を楽しみながら、自由に使ってほしいですね」(四方氏)

製品はリフレクトアートのアンテナショップで販売されており、前述したように収益の一部が参加アーティストに還元される仕組みになっている。また、今後は障害者アート支援に活用したり、日本伝統文様や浮世絵を描いて、インバウンド商材にしたりすることも計画しているという。

アップサイクルという言葉は、1994年にドイツの企業「ピルツ」のレイナー・ピルツ氏 がメディアに向けて語ったのが始まりとされているが、日本にはそれよりもはるか昔からアップサイクルに似た文化があった。古着の切れ端を折りたたんで花や鳥などを形作る「つまみ細工」や、欠けたり割れたりした陶器を金粉で修復する「金継ぎ」などは、その典型例だろう。

それを踏まえるなら、日本はアップサイクルが浸透しやすい環境だと言っていい。しかし、大量生産・大量消費社会のなかで、古くからのもったいない精神が薄れていることも事実。「ほんの切れ端」のような活動が、もったいない精神を思い出すきっかけとなり、環境対策がより進展していくことを期待したい。

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