過疎地域の子どもたちに「学ぶ楽しさを知る」体験を...AIと「働く大人の生声」で地域の未来に貢献するClassi
自治体との丁寧な関係構築がプロジェクト実現のカギに
人口減少が進む地方において、子どもたちの学習機会の確保と学力向上は喫緊の課題となっている。学力低下はいずれその地域を担うことになる子どもの可能性を狭め、地方の未来や産業維持を危うくするからだ。
人口が1万人に満たない多良木町の自治体職員からそうした実態を聞いて課題意識が芽生えたこと、さらに自治体職員の「多良木町にDXを通じた新しい学びの機会を提供したい」という熱意がClassiを活用したイベントの開催へとつながったという。
「今回のプロジェクトは、直接的には一人ひとりに向き合った学習機会の拡大を通した教育の質向上を目的にしていますが、長期的には子どもたちと地域の可能性を拓き、持続可能な社会の実現に寄与することを目指しています」と、椎葉氏は話す。
自治体との連携にあたっては、組織環境の違いから、利益や目標に対する考え方の差異が表出する場面もあったという。
「ディスカッションを重ね、同じ目標を持つことに立ち返ることでプロジェクトを進めていくことができました。また、東京のIT企業である私たちは地域課題について解像度が高くないと認識すること、つまり分かった気持ちにならないことも重要なポイントだったと考えています。時間や回数を重ねて関係を構築することや、解像度を高めるために私たちが学び続ける姿勢を持つことは今後も引き続きなくてはならない観点です」
今後の課題としては、事業の継続性を鑑みた際の費用や運営リソースの問題が挙げられるという。
「今年度は多良木町が一部費用を予算化してくださったおかげで施策の改善を図ることができました。今後は予算や運営リソースの課題を乗り越え、どんな地域や環境においても個別最適な学びを提供することを目指すと同時に、子どもたちが自分自身の未来に持つ自信や信頼の獲得につながる貢献を続けていきたいと考えています」と、椎葉氏は語る。
都市への人口集中が進む一方、日本の市町村の約半数が過疎の問題を抱えている。多良木町でのClassiの取り組みは始まったばかりだが、都市部と地方の学習機会の不平等を解消する大きな可能性を秘めているのではないだろうか。