目標達成の危機...SDGs進捗遅れ、グテーレス国連事務総長が示す打開策

アントニオ・グテーレス国連事務総長 REUTERS
<国連本部で行われた「SDGモーメント」では、持続可能な開発目標(SDGs)の進捗遅れが大きな焦点となった。アントニオ・グテーレス国連事務総長は、目標達成の危機に対して、資金調達、気候行動、平和を柱とする打開策を示した>
9月24日、国連本部で開催されたハイレベルイベント「SDGモーメント」では、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた取り組みが再び焦点に当てられた。貧困の撲滅、不平等の是正、ジェンダー平等の実現、気候変動への対策など、未来を左右する17の目標は、パンデミック、債務危機、そして紛争といった世界的な課題に直面している。このイベントでは、これらの課題を克服し、目標達成に向けた取り組みの加速が呼びかけられた。
SDGs前進に向けた「3つの原動力」
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、SDGsの5分の4が予定された達成軌道から外れている現状に強い警鐘を鳴らしつつ、世界には資金、技術、ノウハウが十分に存在しており、それらを最大限に活用すべきだと強調した。彼は「開発のための3つの原動力」として、資金調達、気候行動、平和の重要性を訴えた。
まず、資金調達の課題について、多くの途上国が増大する債務や非効率な税制によって、保健、教育、食糧など基盤的な投資が阻まれている現状を指摘した。これに対して、国際的な金融システムの抜本的な改革が求められており、特にSDGsを推進するための刺激策の重要性が強調された。
次に、気候行動では、各国のエネルギー政策の見直しが急務であるとされた。化石燃料への補助金を廃止し、炭素に価格を設定すること必要であると指摘された。また、化石燃料の段階的な廃止や、再生可能エネルギー規模拡大の必要性も強調した。
さらに、平和の実現が欠かせない要素であると強調された。紛争は、開発の進展を一瞬で無にしてしまうため、ガザやウクライナ、スーダンなど、紛争が続く地域における平和の確立が急務である。世界の指導者たちは、分断を乗り越え、具体的な行動で紛争を終結させる責任があるとされた。
2030年まであと6年...SDGs達成は遠い夢か
グテーレス氏は、これらの課題に立ち向かうためには、集中力を失わず、大胆かつ協調的な行動を取ることが不可欠だと訴えた。また、女性や女児への教育の拡充や再生可能エネルギーの普及が、持続可能な社会への転換において中心的な役割を果たすと述べた。
2030年のSDGs達成期限まで残り6年。グテーレス氏は、目標達成に向けた国際的な結束を呼びかけたが、2024年の国連報告書は、進捗状況が依然として目標に遠く及ばない現実を示している。これまでの取り組みでは、目標達成に向けた実現可能性に疑問が残る状況だ。

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