スクールバスの未来はEVにあり...「EVは儲からない」を覆すブルーバードの快進撃
Schooling the EV Skeptics
私たち大人のほとんどはディーゼルエンジンのスクールバスに乗っていたので、後部座席に座ると排ガスの臭いがした。朝、スクールバスが来るのを待っている間も排ガスを吸い込んでいた。EVならスクールバスが走行する都心部や人口密集地域から排ガスをなくすことができる。生徒たちもEVバスをとても気に入っている。バスに乗ると未来に向かっている気分がするらしい。
──バイデン政権はEVを奨励し支援してきた。EVをめぐるブルーバードの経営判断において、政府の政策はどんな役割を果たしてきたのか。
言うまでもなく、ブルーバードはEVスクールバスという分野をリードすることを目指していて、どんな政策決定であれEVへのシフトに役立つ。バイデン政権は22年8月に施行されたインフレ抑制法を通じて、EVやプロパンガスなどを燃料とするクリーンなスクールバスを導入する場合の助成金として(22~26年度の5年間で)50億ドルを提供しており、おかげでそれらのテクノロジーの採用が急増している。
当社のバスを購入する申込件数も学区の数も飛躍的に増えている。既にアメリカ41州とカナダ4州にわが社のEVスクールバスを配備しているが、助成金は全米でEVスクールバスへの関心を高めるのに大いに役立っている。
──EVバスとディーゼルバスとでは学区の負担額に大体どのくらい差が出るのか。
EVのほうがはるかに高額だ。ディーゼルのスクールバスの購入費は1学区当たり大体15万ドル前後だが、EVバスははるかに高くて35万ドルくらいする。
もちろん、購入費用は助成金で相殺できる。だが運行にかかる費用はEVバスのほうがディーゼルのバスに比べてかなり安い。ディーゼルバスは1マイル当たり0.79ドル(1キロ当たり約0.5ドル)かかるのに対し、EVバスなら約0.19ドル(1キロ当たり約0.1ドル)で済む。バスの寿命が来るまでに大幅なコスト削減ができるわけだ。
──この1年はブルーバードにとってまさに変化の年だった。昨年5月には従業員の投票によって組合加入が決定したが、どうしてそうなったのか。その結果、職場はどう変わったか。
南部では労組結成の機運が高まっていて、当社の従業員は全員一致で労組結成を支持した。今年5月に組合側と契約を結んだが、いい交渉ができて誰もが結果に満足していると思う。