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スクールバスの未来はEVにあり...「EVは儲からない」を覆すブルーバードの快進撃

Schooling the EV Skeptics

2024年8月21日(水)17時20分
ジェフ・ヤング

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ブルーバードのEVバス充電スタンド。同社の年間生産台数の約1割がEV BLUE BIRD

このプログラムを利用することにより、ブルーバードの22年の売上高は約2億ドル増えたという。さらに今年7月には、EVの生産能力拡張計画にエネルギー省から約800万ドルの助成が決まった。

本誌ジェフ・ヤングが、スミス社長に話を聞いた。

◇ ◇ ◇


──ブルーバードがEVを生産するようになったきっかけは何だったのか。

ブルーバードがEVシフトを始めたのは1994年のことだ。地元ジョージア州でアトランタ夏季五輪が開催された96年に試作車を製造した。当時、われわれは小回りの利く小型スクールバスを生産していて、テクノロジーによる差別化が必要だと痛感した。

90年代にEVが成長トレンドにあることに気付き、2018年に初の商用EVを発売しているから、EVの分野では決して新参者ではない。EVはブルーバードを差別化し、顧客が探し求める車を提供するチャンスを与えてくれた。

政府の資金的なサポートもあり、スクールバスをEVに切り替える学区が増えるなか、われわれがそのニーズに真っ先に応えられることをとてもうれしく思っている。

──ブルーバードの生産車両の何割くらいがEVなのか。

現在、全米で約50万台のスクールバスが運用されているが、EVの割合は2%以下で、93%以上がディーゼル車だ。従って、スクールバスのEV化には極めて大きなビジネスチャンスがある。

ブルーバードでは年間生産台数の約9%がEVだ。プロパンガス車などのクリーンカーも生産しており、ディーゼルのような伝統的なエンジン車は着実に減っている。

──EVスクールバスを導入した学区からの評判は?

まず、ブルーバードのEVスクールバスは非常に信頼できる、毎日のように通りを走っていて、実のところ一部の従来型の内燃エンジンのバスに比べて性能もいい、という反応が返ってきている。

次に、バスの運転手たちはトルク(回転力)の大きさに満足している。積載量(乗客定員)が非常に大きく、生徒たちで満席の状態での加速もかなりいい。EVスクールバスの静けさも運転手たちに好評だ。静かなことは騒音公害という点で非常に重要なのはもちろん、静かだからバスの車内や車外で起きていることが全て運転手に聞こえる。安全で快適で静かなバスというのは1つの付加価値だ。

さらに、EV化はスクールバスにうってつけだという意見だ。スクールバスは朝と午後に50~60キロくらいの短いルートを回って、夕方には同じ場所に戻る。だから夜のうちに充電して翌朝生徒たちを乗せて学校まで運ぶ準備をするのにぴったりだ。

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