【SDGsホンネ座談会】学生が語る「エシカル消費のリアル」...ペットボトル・プラストローは「使う時もあります」
写真左から、慶應義塾大学の総合政策学部3年の児玉英里さん、環境情報学部4年の宮沢桜太朗さん、通信教育課程 経済学部3年の鈴木日和子さん、環境情報学部4年の藤田光燿さん
「SDGs」「サステナブル」「エシカル」といった言葉が広く認知されるようになったが、依然として「一過性のブーム」と捉える人も少なくない。しかし、10代や20代の若者にとって、これらの概念はすでに身近なものとなっている。
現代の若者は、SDGsやエシカル消費についてどのような意識を持っているのだろうか? その「ホンネ」に迫るため、地球温暖化や気候変動の問題を研究する慶應義塾大学の蟹江憲史研究室の学生たちを中心に集め、座談会を開催した。
本記事では、学生たちがSDGsを知ったきっかけや、日常的なエシカル消費について語る(本記事は座談会前編)。
──SDGsに興味を持った理由と、どんな活動をしているのかを教えてください。
児玉英里さん(以下、児玉):SDGsという言葉を認知したのがいつかは覚えていませんが、興味を持ったきっかけは総合型選抜(旧AO入試)対策のために社会問題について調べ始めたことです。
特に化粧品の動物実験について知り、問題意識を持ち、高校3年生の時からアメリカを中心に広まっている「クリーンビューティー(人や環境に配慮した活動や商品、ブランドのこと)」という言葉を広める活動を開始しました。
大学でも化粧品とSDGsをテーマに研究しています。研究を進めるうちに、日本にはクリーンビューティーの商品があまり普及していないことがわかり、アイシャドウを製造・販売する会社「Rulie(ルリー)」を立ち上げ、それに関連する一般社団法人に理事として参画しました。
環境問題に対する問題意識は、これからビジネスをする上で必須の視点になることを実感しています。
鈴木日和子さん(以下、鈴木):私は中学2年生の社会科の授業で、先生からSDGsという言葉を聞いたのが最初の記憶です。
小さい頃、世界遺産に登録される前の小笠原諸島に住んでいた経験があるのですが、引っ越してしばらくしてから友人に会いに島へ帰ったとき、自然や生き物の変わり具合や放置されたごみを見て、地球環境への問題意識を持つようになりました。故郷だけでなく社会全体でも同じことが起きていると知り、SDGsが「自分ごと化」しました。
私は他の皆と違って通信教育課程で学んでいますが、通信を選んだ理由は平日の日中を自由に使えること。その時間を環境・社会問題に取り組むZ世代のプラットフォーム「NAMIMATI(なみまち)」の活動に充てています。
他には、SDGs視点での評価審査基準をもとに化粧品を表彰する「サステナブルコスメアワード」の学生審査員を務めています。
藤田光耀さん(以下、藤田):僕は中学2年生の時、英語の教材でSDGsという言葉を知りました。SDGsをゼミで研究するきっかけになったのは、高校2年生の時、知り合いの紹介でスタートアップ企業が集まるイベントに登壇したこと。なぜ日本では若いリーダーが出にくいんだろうと一抹の不安を覚え、そこにSDGsというキーワードが繋がるんじゃないかと考えるようになりました。
今はニューズウィーク日本版の「SDGsアワード」プロジェクト(企業の優れたSDGs関連の取り組みを表彰。概要はこちら)を一緒にやらせていただいて、「学生部門賞」を新設するためにテストケースの調査や、学生に対するアンケート調査に関わっています。
宮沢桜太朗さん(以下、宮沢):小学校5年生までドイツのフランクフルトで暮らしていました。当時はまだSDGsという言葉は知りませんでしたが、環境への意識は日本よりずっと進んでいるというか、日常に溶け込んでいる感じがしましたね。僕は洋服が好きなので、サステナブルファッションブランドを作ることを最初の目標としていました。
大学1年生の時から「KEEPWEARING(キープウェアリング)」という、洗わなくてよいTシャツを作り、100人に販売して100日間着続ける、といった社会実験を行っています。
そこから派生して、今ではファッションからライフスタイル全般に興味の幅が広がりました。大学では和田研究室(環境政策や環境システム分析が専門分野の和田直樹准教授のもと、暮らしとサステナビリティをテーマに、学内の衣食住に関わるプロジェクトを進めていく研究会)に所属していて、1から畑作りを行っています。