CO2除去ビジネスの成功に懸ける米テック大手の目利きは確かか?
Why Big Tech Is Pumping Big Money Into Companies Pulling CO2 From the Air
「このバイオエネルギー施設は、排出されるはずだったすべてのCO2をすべて回収し、われわれはそれをCDRとして購入する」とベビントンは述べた。エクセルギーは年に約80万トンの炭素を回収可能で、CDRプロセスの質についてはスウェーデン当局の厳しい監視によって保証されるという。
セールスフォースによれば、フロンティアに対する2500万ドルの出資は、全1億ドルの投資目標に向けた第一歩だ。ちなみにセールスフォースは、本誌の「アメリカの最も信頼できる企業ランキング」のソフトウエア・通信分野の35位に入っている。
セールスフォースのヤマニによれば、各社のCDRプロジェクトは、単にCO2を回収するだけでなく、CDR産業の規模拡大に道を開く一助となっている。
「私たちは技術革新を大きな規模で後押ししたり、そうした技術(の開発)を加速したいと考えている」とヤマニは言う。また、どのくらい多くの新しいプロジェクトが商業化に向けて前進しているか、どのくらいくらい多くの新しい買い手がCDR市場に参入を決めたかも重要な指標として注目しているという。
もっとも、テック大手がいかにCDRプロジェクトに熱心とはいっても、多くの科学者が必要と考える規模にはまだ届いていないことが、ローディアムの報告書からはうかがえる。
「民間部門がここで大きく伸びるとは思えない」とローディアムのラーセンは言う。「政府の政策に多少、上乗せするという役割がいいところだろう」
政府が民間への支援に動く気配もいくつか見えている。5月、米エネルギー省は補助金の対象となるCDRプロジェクトの最終選考に残った企業のリストを発表、その中にはクライムワークスも入っていた。クライムワークスは、アメリカ国内でも初のCDRプロジェクトをルイジアナ州で始める計画だ。
ラーセンによれば、テック企業によるCDR投資は、それまで気候変動対策のソリューションとしては過小評価されていたCDRの知名度を上げる役割を果たした。
「(CDRは)長い目で見れば大気中のCO2濃度を減らす数少ない選択肢の1つだ」とラーセンは語った。「よりクリーンな電気や電気で動く交通手段を作ること、そして気候変動問題の解決策として人々が思いつくあらゆることと同じくらい、重要だ」