最新記事
CO2削減

CO2除去ビジネスの成功に懸ける米テック大手の目利きは確かか?

Why Big Tech Is Pumping Big Money Into Companies Pulling CO2 From the Air

2024年6月24日(月)19時29分
ジェフ・ヤング

「このバイオエネルギー施設は、排出されるはずだったすべてのCO2をすべて回収し、われわれはそれをCDRとして購入する」とベビントンは述べた。エクセルギーは年に約80万トンの炭素を回収可能で、CDRプロセスの質についてはスウェーデン当局の厳しい監視によって保証されるという。

セールスフォースによれば、フロンティアに対する2500万ドルの出資は、全1億ドルの投資目標に向けた第一歩だ。ちなみにセールスフォースは、本誌の「アメリカの最も信頼できる企業ランキング」のソフトウエア・通信分野の35位に入っている。

セールスフォースのヤマニによれば、各社のCDRプロジェクトは、単にCO2を回収するだけでなく、CDR産業の規模拡大に道を開く一助となっている。

「私たちは技術革新を大きな規模で後押ししたり、そうした技術(の開発)を加速したいと考えている」とヤマニは言う。また、どのくらい多くの新しいプロジェクトが商業化に向けて前進しているか、どのくらいくらい多くの新しい買い手がCDR市場に参入を決めたかも重要な指標として注目しているという。

もっとも、テック大手がいかにCDRプロジェクトに熱心とはいっても、多くの科学者が必要と考える規模にはまだ届いていないことが、ローディアムの報告書からはうかがえる。

「民間部門がここで大きく伸びるとは思えない」とローディアムのラーセンは言う。「政府の政策に多少、上乗せするという役割がいいところだろう」

政府が民間への支援に動く気配もいくつか見えている。5月、米エネルギー省は補助金の対象となるCDRプロジェクトの最終選考に残った企業のリストを発表、その中にはクライムワークスも入っていた。クライムワークスは、アメリカ国内でも初のCDRプロジェクトをルイジアナ州で始める計画だ。

ラーセンによれば、テック企業によるCDR投資は、それまで気候変動対策のソリューションとしては過小評価されていたCDRの知名度を上げる役割を果たした。

「(CDRは)長い目で見れば大気中のCO2濃度を減らす数少ない選択肢の1つだ」とラーセンは語った。「よりクリーンな電気や電気で動く交通手段を作ること、そして気候変動問題の解決策として人々が思いつくあらゆることと同じくらい、重要だ」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、日本などをビザ免除対象に追加 11月30日か

ビジネス

独GDP改定値、第3四半期は前期比+0.1% 速報

ワールド

独新財務相、財政規律改革は「緩やかで的絞ったものに

ワールド

ゴールドマン、24年の北海ブレント価格は平均80ド
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中