最新記事
SDGsパートナー

環境配慮も、快適さも、多機能性も...hapが開発した「いいとこ取り」な多機能素材「COVEROSS」の誕生秘話

2023年12月21日(木)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
左から5人目がhap代表取締役社長の鈴木素氏。2023年2月にダッカ大学で撮影

左から5人目がhap代表取締役社長の鈴木素氏。2023年2月にダッカ大学で撮影

<2023年には第11回技術経営イノベーション大賞「内閣総理大臣賞」を受賞。革新的新素材「COVEROSS(カバロス)」の正体とは?>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや製品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えのもと、ニューズウィーク日本版はこの春、「SDGsアワード」を立ち上げました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇


hap株式会社は繊維・アパレル業界の課題解決に貢献する取り組みとして、同社が「環境配慮快適多機能素材」とうたう「COVEROSS(カバロス)」を開発する。生地や衣服に多機能を付与(除去も可能)するカバロスの技術は、国内外で高く評価されている。

「30以上の機能」を複合的に付与可能

繊維・アパレル産業は、石油業界に次いで環境負荷が高い産業と言われている。衣服の製造から販売までには、原料の生産や紡績、染色、裁断など多数の工程があり、大量の水を消費するうえ、CO2排出量も多く、流行の変化が激しい現代では衣服の廃棄量も増加しているからだ。

こうした背景もあり、アパレル業界ではサーキュラーエコノミー(循環経済)関連の取り組みを実施する企業が脚光を浴びている。hap株式会社もその一つだ。

サーキュラーエコノミーとは、廃棄物や汚染など負の外部性が発生しない製品・サービスの設計を行い、原材料や製品はその価値をできる限り高く保ったまま循環させ続ける経済活動を指す。

hapが行っているのは、同社が「環境配慮快適多機能素材」とうたう「COVEROSS(カバロス)」を活用した取り組みだ。「カバロス」は、撥水性や吸水性など複数の機能を生地にプリントする後加工技術。2013年に開発を開始し、現在では30以上の機能を複合的に生地や製品、古着などへ付与することができる(除去も可能)。

画像3(3).jpg

「COVEROSS」が実現する30以上の機能

hap代表取締役社長の鈴木素氏は「製造工程における水やエネルギーの使用量を50%抑えた光触媒技術をベースとした『カバロスウィザード』や、産学共同研究を続けている導電性繊維との融合により、センシングウェアや温度調整可能なスマートウェアなども開発してきました」と話す。

ビジネス
栄養価の高い「どじょう」を休耕田で養殖し、来たるべき日本の食糧危機に立ち向かう
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 8
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中