「朝ごはんを、こども食堂で」 子どもの朝食欠食、孤食問題解決を目指す日本ケロッグの取り組み
想いを共にする企業・団体とプロジェクトを推進
プロジェクトを立ち上げるにあたり、最初に直面した課題は「協働してくれる企業や団体をどのように見つけていくか」だったと、同社マーケティング本部の山田実氏は話す。
「元々こども食堂とコネクションがあったわけではないので、こども食堂を束ねるNPO法人をリサーチすることから始める必要がありました。いくつかのNPO法人に相談し、まずは弊社と同じ課題を感じていた『全国こども食堂支援センター むすびえ』様と協働することにしました。その後、むすびえ様が束ねるこども食堂に募集を行い、参加数を1件ずつ増やしていったという経緯があります」
こども食堂とは定期的なシリアルの発送対応だけでなく、プログラムを実施している子どもたちの写真を送ってもらうなど密なコミュニケーションを取っているという。その理由について、山田氏は「同じ想いを持つ企業や団体と一緒に取り組むことが、プロジェクトの中心にいる子どもたちの幸せにつながるから」と語る。
今後の目標として、同社は2030年までに全国47都道府県のこども食堂に同プロジェクトを展開することを掲げている。
「認知も含めてどのように拡大していくかが重要なミッションです。弊社だけで課題を解決しようとは考えていません。子どもたちをサポートしたいと考えている企業や団体など、あらゆる関係者を巻き込んで推進していきたいと考えています」
飢餓問題を解決するため、ケロッグは2013年から社会貢献プログラム" better days"を世界各国で展開している。フードバンクとの連携や栄養教育、農家支援など、独自に設けた5つの目標を2025年までに達成することを目指すプログラムで、日本での「毎日朝ごはんプロジェクト」もその一環として位置づけられている。
朝食シリアルのパイオニア企業としての実績やブランドイメージもさることながら、専門家や地域を巻き込んで継続的な取り組みにしていこうとする姿勢から、日本でのプロジェクト拡大が期待できる。あるいは国境を越え、子どもたちの朝食欠食と孤食を防ぐこの取り組みがグローバルに広がっていく可能性すらあるのかもしれない。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら