世界自然遺産を守る経営を目指す... 星野リゾート 西表島ホテルとは
豊かな自然と調和した 星野リゾート 西表島ホテル
<西表島の自然保護を目指す日本初の「エコツーリズムリゾート」は、星野リゾートのCSV経営の一環である>
世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや製品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えのもと、ニューズウィーク日本版はこの春、「SDGsアワード」を立ち上げました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。
沖縄県の八重山諸島に位置する西表島。独自の生態系を持ち、希少な動植物が生息する自然豊かな島だが、観光に関する問題を多々抱えている。星野リゾート 西表島ホテルは、自然環境を保護しつつ、持続可能な観光の仕組みを構築するため、日本初の「エコツーリズムリゾート」の実現を目指している。
「エコツーリズムリゾート」で持続可能な観光の仕組みをつくる
「エコツーリズム」とは、自然環境や文化を観光資源に活かしながら、それらの保全に繋げることを目指す観光のあり方だ。SDGs目標との共通点も多いことから、近年では世界各地で実践されている。
星野リゾート 西表島ホテルでは、2021年から日本初の「エコツーリズムリゾート」の実現を目指す取り組みをスタートさせた。
西表島は世界自然遺産に登録されており、豊かな自然を有している。一方で、オーバーツーリズムによる自然環境破壊や、絶滅危惧種に指定されるイリオモテヤマネコの「ロードキル」の問題など、多くの課題を抱えている。
自然環境を保護し、持続可能な観光の仕組みを作るために、エコツーリズムリゾートの実現が必要なのだ。現在では、島の自然や文化の価値を伝える、イリオモテヤマネコの保護活動、エコロジカルなホテル運営、地域への経済効果の波及という4つの軸をもとに、さまざまな活動を行っている。
「観光客のほとんどが石垣島からの日帰り客であるため、西表島の本質的な価値が十分に伝わらず、経済的波及も薄いという問題もあります。そのため、宿泊滞在型の観光、さらには連泊滞在を推進していくことで、旅行者を西表島の経済の循環に巻き込み、持続可能な観光の仕組みを構築することができると考えています」と、星野リゾート 西表島ホテル総支配人の細川正孝氏は話す。