「何気ない行動が持続可能な開発につながる」 バングラデシュ女性700人以上を日本品質の革職人に育成するFrankPR
こうした取り組みが生まれた背景について、FrankPRの代表取締役を務める松尾真希氏は自身の生い立ちが影響していると話す。
「私自身も父を50代で亡くし、母が手に職をつけて働いてくれたおかげで大学に進学することができました。現在は、障がい者雇用の推進や、日本国内でもシングルマザーによるアウトソーシングを行うなど、私のように教育を受けられる子どもを増やすべく、ダイバーシティ&インクルージョンに力を入れています。」
革製品の販売を通じてサスティナブルな行動を促す
さらにFrankPRは、「Raffaello」を通してサスティナビリティやエシカルに無関心な層を取り込むことも目指している。
具体的には、「Raffaello」の革製品を純粋に「いい革製品だ」「かっこいいな」などと気に入って購入してもらった後、小冊子を配布したり、メールマガジンを配信することで、実はサスティナビリティをコンセプトにした商品であることを知ってもらう。
関心のない人に、「知らず知らずのうちにサスティナブルな選択をしていた」と気づいてもらうことで、意識変化や行動変化を促すのが狙いだ。
「保護猫を飼ったとき、友人に『サスティナブルな選択だ』と言われたことをきっかけに、何気ない行動が持続可能な開発につながることに気づいたという自身の経験が基盤となっています」と松尾氏は語る。
こうした取り組みが評価され、2021年の第9回環境省グッドライフアワード 環境と福祉賞に続き、2023年3月に外務省主催の第6回ジャパンSDGsアワード外務大臣賞を受賞。女性経営者、ファッション業界、スタートアップ企業で、両省のSDGsアワードをW受賞したのは初の快挙だ。
今後の目標について、「2050年には女性の雇用数1000人とカーボンフットプリントゼロを実現したい」と松尾氏。サスティナビリティの輪を広げながら、国境を越えた循環・共生型社会を構築しようとする同社の取り組みが、より多くの人々が貧困から抜け出す助けになることに期待したい。