スイスで「駅弁」が完売! 欧州で日常になった日本食、770円「似て非なる」おにぎりも
日本人気はお菓子類にも及んでいる。イギリスの「Little Moons」、ドイツの「O-Mochi」等、餅アイスもヨーロッパ市場に出回り、現地の人の心をつかんでいる。抹茶ラテもローカルなコーヒーショップで飲めるし、自分で牛乳と混ぜて飲むための「抹茶と砂糖またはバニラエキスを混ぜた商品」も大手スーパーやネットショップで見かけるほど行き渡っている。
アレンジされ別物になった日本食も
日本食のヒットは、冒頭の女性のように日本を訪れるヨーロッパ人が増え、日本で好ましい食体験をしていることも大いに影響している。自国で、日本の食を通じて幸せな気分になるヨーロッパ人が益々増え、日本への関心がもっと高まっていくと嬉しい。
ただし、おいしそうに見えても、日本で食べる味との間にギャップがあることはよくある。例えば、スイスで買えるコンビニタイプのおにぎりは1個4.5フラン(約770円)もするのに、ご飯が乾燥していて海苔の香りもあまりしなくて食材のクオリティーの違いは明らかだし、味自体も違う。
おにぎりが寿司の一種ととらえられていて、ごはんは酢飯だ。ツナ風味が"具はツナマヨ"のはずだと思うと、メーカーによっては、パプリカや七味唐辛子で味付けしたマグロの切り身が入っている。また、アテネで醤油ラーメンを食べてみた時は、麵つゆの味が強いスープでおいしくなかった。
こういったアレンジした日本食のせいで、日本食嫌いになるヨーロッパの人たちがあまりいないことも願う。
岩澤里美
スイス在住ジャーナリスト。上智大学で修士号取得(教育学)後、教育・心理系雑誌の編集に携わる。イギリスの大学院博士課程留学を経て2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信の通信員として従事したのち、フリーランスで執筆を開始。スイスを中心にヨーロッパ各地での取材も続けている。欧米企業の脱炭素の取り組みについては、専門誌『環境ビジネス』『オルタナ(サステナビリティとSDGsがテーマのビジネス情報誌)』、環境事業を支援する『サーキュラーエコノミードット東京』のサイトにも寄稿。www.satomi-iwasawa.com

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