最新記事
健康

脳のパフォーマンスが「最高状態」になる室温とは?【最新研究】

Older Brains Work Best When Our Home Is This Temperature

2025年2月3日(月)14時35分
ハティ・ウィルモス
温度計

geralt-pixabay

<室温が華氏7度(約4℃)変化するだけで、認知機能に問題が発生するリスクが2倍になることが判明>

私たちの脳は、室温が特定の範囲内にあるときに最もよく働く...。暑すぎても、寒すぎても認知機能の低下を引き起こしやすいことが、最新研究で明らかになった。

ハーバード大学医学部「ヒンダ&アーサー・マーカス老年研究所(Hinda and Arthur Marcus Institute for Aging Research)」の研究チームは、マサチューセッツ州ボストンにある高齢者施設に暮らす65歳以上の人々を対象に、自宅の室温と脳機能の関連性を調査した。


 

本研究は、1年間にわたり47名の被験者の自宅の室温を測定。研究期間中に被験者の集中力の維持が難しくなった時期についても報告してもらった。

被検者が認知機能の問題を最も訴えなかったのは、室温が華氏68度(約20℃)から華氏75度(約24℃)の間であった。この範囲を超えて暑すぎたり寒すぎたりすると、集中しづらいと訴える傾向が強くなった。

具体的には、室温が華氏7度(約4℃)変化するだけで、認知機能に問題が発生するリスクが2倍になることが判明した。本研究の筆頭執筆者であるアミル・バニアサディ氏は次のように述べる。

「この研究は、高齢者に対する気候変動への対応策を優先する、保健政策や住宅政策の必要性を明らかにしました。地球規模の気温上昇が進む中で、温度が適切に管理された環境を確保することは、高齢者の認知機能の健康を守るために極めて重要です」

気候変動に伴って極端な気温が脳の健康を悪化させ、認知機能の低下を引き起こす可能性がこれまでも指摘されていたが、現在の気候でもすでに高齢者の認知機能に悪影響を及ぼしている可能性を本研究は示唆する。多くの高齢者が、自宅の室温による集中力の影響を受けているのだ。

暖房や冷房に投資できる財源が限られている可能性があるため、特に低所得層や支援が行き届いていない高齢者にとっても重要な意味を持つ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

香港GDP、第4四半期前年比+2.4% 外需が寄与

ビジネス

ユーロ圏1月CPI速報、前年比+2.5%に加速 サ

ビジネス

ECBは3月に利下げ、さらに追加で2回=リトアニア

ビジネス

英製造業PMI、1月は4カ月連続50割れ 生産・受
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 5
    メーガン妃からキャサリン妃への「同情発言」が話題…
  • 6
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 7
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 8
    トランプ「関税戦争」を受け、大量の「金塊」がロン…
  • 9
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 10
    思いつきのアドリブに前言撤回...トランプ大統領、就…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 7
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 8
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中