「臓器を摘出」する予防法も...がんは「治す」から「防ぐ」時代に、新たな医療アプローチ「VBC」とは?
AN OUNCE OF PREVENTION
一方、プライマリーケアはほかの医療分野ほど多くの収益を期待しにくく、膨大な量の患者を抱える医師たちは1人の患者に15分ほどしか時間を割けない。
これでは、患者の医療上の問題をじっくり話し合うことは難しい。まして患者の食生活について詳しく話したり、受けるべき数々の検診について一とおり説明したりする時間などない。
検診が最新の治療薬に比べると地味であることも、癌検診の普及を妨げる要因になっている。子宮頸癌の細胞診や大腸癌の大腸内視鏡検査は最良の癌対策かもしれないが、画期的な新発明とは言い難い。
それでもラトナーは、明るい兆しが見え始めていると感じている。
ビジエント社とアメリカ病院協会の最新の報告書によると、乳癌と大腸癌の検診件数は、19年第4四半期から24年第1四半期の間に80%以上増加した。これは、医療機関と医療従事者の「目を見張る努力」のたまものだと、報告書は指摘している。
「私は朝起きるとまず、自分が生きていることを確認して感謝する」と、ラトナーは言う。「それくらい、私の家系には大勢の癌患者がいる。というより、私たちは誰もが癌で死んだ祖父母や親戚や親しい友人を持っている。その点では、私が特別なわけではない。全ての人がそのような経験をしている」