最新記事
健康

「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新研究が示す新事実

Higher Testosterone Doesn't Increase Men's Sex Drive

2024年12月9日(月)16時30分
ジェス・トムソン

論文の説明によると、研究では、18〜26歳の男性41人から、31日間にわたって唾液を毎日採取し、体内のテストステロン濃度を日々計測した。

研究ではまた、この41人の男性に毎日、オンラインアンケートで性欲に関する質問に答えてもらった。たとえば、「どのくらいの性欲を感じたか」「昨日、恋人候補や性的パートナーの関心を引くためにどのくらい努力したか」「性的な妄想をどのくらい抱いたか」といった質問だ。

その結果として研究チームは、テストステロン濃度と、男性が感じる性欲の度合いに相関関係は認められないという結論に至った。

「任意の日に、ある男性のテストステロン濃度が通常レベルを超えていても、同じ日に通常以上の性欲を示すことは、一般的にはない」と論文には書かれている。

とはいえテストステロン濃度は、別のかたちでセックスに影響を与えているようだ。たとえば、男性の求愛行動に、より力が入るのだという。

「テストステロン濃度が、性欲の変動を明確に制御している様子は見られない。しかしその代わりに、求愛行動を促進するなどほかの方法で、繁殖に向けた努力を促している可能性がある」

「正常範囲内で変動するテストステロン濃度は、(とりわけ恋人候補との社会的なやり取りにおいて)独身男性による求愛行動の日ごとの変化を明確に予測できる可能性がある」

(翻訳:ガリレオ)

【参考文献】
Catena, T., Crewther, B. T., Eisenbruch, A. B., Grillot, R. L., Maestripieri, D., & Roney, J. R. (2024). Day-to-day associations between testosterone, sexual desire and courtship efforts in young men. Proceedings of the Royal Society B Biological Sciences, 291(2035).

20250121issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中