最新記事
BOOKS

【文章力UP】「1日10分・自発的・手書き」、子どもの「論理的に書ける脳」をつくる3つのキーワード

2024年8月1日(木)15時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

キーワード2:「自分から進んでがんばるほどチカラがつく」

どんなに効果的ですばらしい方法でも、みなさんが自分で行わないとその効果かは期待できません。

下の図は、(本書で紹介している)「ハーバード大生みたいな1日10分ライティング」を、5W1Hを用いて説明したものです。5W1Hとは、英語のWhen(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)の頭かしら文字を集めたもので、情報を整理するための原則です。みなさんも学校で習ったことがあるかもしれませんね。ライティングの練習を、いつ、どうやって行うのか考えてみてください。

newsweekjp_20240729082424.png

キーワード3:「手で書くと上達する」

みなさんの中には、パソコンやスマートフォン、タブレットの操作が得意な人もいることでしょう。「ハーバード大生みたいな1日10分ライティング」の毎日の練習も、そうしたデジタルデバイスを使って書きたいと思うかもしれません。

ですが、ちょっと待って! この10分ライティングはぜひ、手書きで行ってほしいのです。ノートに手で書くことが、脳の活動を活発にするという研究結果があるからです。

これを支持する面白い実験があります。アメリカのインディアナ大学で心理学を教えているカリン・ジェームズ教授が、手書きで文字を書くことについて次のような実験をしました。

まだ読み書きがあやふやな小さな子どもたちに、文字が書かれたカードを見せ、「紙に手で書かせる」「点線で描かれたりんかくをなぞらせる」「コンピュータにタイピングさせる」という3つの方法で、カードと同じように書いてもらったときの脳がそれぞれどれくらい活発になるのかを調べました。

その結果、紙に直接手書きした子どもたちの脳には、大人が読み書きするときと同じ部分が活発になる反応が見られたのです。一方、ほかの2つの方法には、そうした反応はごくわずかであったり、見られなかったということです。

こうしたことから、ジェームズ教授は、手で文字を書くことが子どもの脳を発達させるという結論を出しました。作文を手書きする場合は、漢字や送りがななどの言葉の成り立ちや、文字のバランスまで考えています。こうしたことまで気を配るため、手書きのほうがはるかに脳が鍛えられるというわけです。

きれいな文字は得をする! ?

作文を手書きで書くことをすすめる理由がもうひとつあります。毎日、手で文字を書けば書き方も上達するからです。

文字がきれいであることは、実はテストでも得することがあります。たとえば、作文の採点の場合、同じ内容でも、先生が読むのに苦労するほどのきたない文字で書かれた文章では、書かれた内容まで説得力に欠けて見えるからです。

きれいな字は得をします。毎日書くときは、きれいに書くことも心がけてみましょう。

newsweekjp_20240729083405.jpg

newsweekjp_20240729083427.jpg

newsweekjp_20240729084137.jpg
作文宿題が30分で書ける! 秘密のハーバード作文
 ソン・スッキ[著] 岡崎暢子[訳]
 CCCメディアハウス[刊]

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)



ソン・スッキ(ソンスッキ)

1965年生まれ。大韓民国を代表するライティング・コーチ。ソン・スッキ作文センター、アイデアウイルス代表。稼げるライティングソリューションを提供し、企業と個人のマーケティングコンサルティングを担う。慶熙大学にて国語国文を専攻し、卒業後は、放送局、広告代理店、新聞社、雑誌社、女性向けポータルサイト、出版社などで経験を積む。執筆活動歴35年、ライティング指導歴20年。『150年ハーバード式ライティングの秘密』は韓国で10万部のロングセラー。

ニューズウィーク日本版 独占取材カンボジア国際詐欺
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月29日号(4月22日発売)は「独占取材 カンボジア国際詐欺」特集。タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口の中」を公開した女性、命を救ったものとは?
  • 3
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 6
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 7
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    日本では起こりえなかった「交渉の決裂」...言葉に宿…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 8
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中