最新記事
健康

「他人の便を患者の腸に入れると、がんが治る?」 東大名誉教授が科学的に解説する納得の健康長寿術

2024年6月24日(月)16時37分
石浦 章一(理学博士)*PRESIDENT Onlineからの転載
「他人の便を患者の腸に入れたら、がんが治る?」 東大名誉教授が解説する鍛えると死亡率が大きく伸びる筋肉

Evgeny Atamanenko - shutterstock -

<死亡率が大きく変化する筋肉はここ...東京大学名誉教授で理学博士の石浦章一さんが健康で長寿になれる正しい方法を、生命科学の最新の知見に基づいて解説>

厚生労働省によると、身体活動・運動の量が多い者は、少ない者と比較して循環器病、2型糖尿病、がん、うつ病、認知症等の発症・罹患リスクが低い。

理学博士の石浦章一さんは「長生きするためには運動習慣を身につけなければならない。必要なものは筋肉。極度に肥満している場合を除き、体中に血流を送り出す太ももは太いほうが、死亡率が低くなることがわかった」という――。

※本稿は、石浦章一『70歳までに脳とからだを健康にする科学』(ちくま新書)の一部を再編集したものです。

【ふくらはぎは血流を良くするから、太ももは太いほうがいい】

歩くと、ふくらはぎを使いますね。ふくらはぎを使うと血流が良くなるのです。血流がよくなると毛細血管へも血液が流れ込んでいきます。こうして体内に酸素が行き渡っていきます。だから激しい運動をしなくても、速歩きくらいで、結構、運動になっているのです。

強烈なデータが2009年に出てきました。それは、皆さんの太ももの大きさに関するものです。太ももが太ければ太いほど死亡率が下がり、太ももが細いと死亡率が上がる、というものです。

例えば、太ももの周囲の長さが65センチの人の死亡率は、55センチの人の約半分。太ももが太いということは、運動している、歩いている、走っているということになりますね。もうそれだけで寿命が違うのです。

だから皆さんも、運動習慣を付けることがいかに大事かということを、ぜひ頭に入れておいてください。

newsweekjp_20240624072220.jpg出典=厚生労働省『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023

※「筋トレ(筋力トレーニング)」とは負荷をかけて筋力を向上させるための運動であり、自分の体重を負荷として利用する自重トレーニング(例:腕立て伏せやスクワット)やウエイト(おもり)を負荷として利用するウエイトトレーニング(例:マシンやダンベルなどを使用する運動)がある。成人及び高齢者に、筋トレを週2~3日実施することを推奨する

newsweekjp_20240624072144.jpg出典=厚生労働省『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023

【高強度の筋トレVSジョギングなどの有酸素運動、どちらがいいのか】

そこで、運動について少しお話ししましょう。年を取れば取るほどおなかに脂肪がついてくることは経験があると思います。そういうときには脂肪を燃やしてなくしたいと思うのは誰でも考えることですが、そのときに強い運動をしたほうがいいのか、弱い運動をしたほうがいいのか迷いますね。

高強度の運動というのは、全力疾走とか重量挙げです。高強度の運動をする場合と、有酸素運動といって軽いジョギングなどの低〜中程度の運動、最大酸素摂取量の半分くらいの運動があります。どちらがより脂肪を燃やすことができるのでしょうか。

強い運動のときに使われるエネルギーは、糖の分解エネルギーです。脂肪はあまり使われないのです。だから100メートル走とか重量挙げばかりやっていると、糖が分解してからだの中に乳酸が蓄積します。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ戦争「世界的な紛争」に、ロシア反撃の用意

ワールド

トランプ氏メディア企業、暗号資産決済サービス開発を

ワールド

レバノン東部で47人死亡、停戦交渉中もイスラエル軍

ビジネス

FRB、一段の利下げ必要 ペースは緩やかに=シカゴ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中