「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料理研究家が考える理想の食事と生命の法則
【「重要なミネラル」が不足することはない】
カロリーは充足できるとして、カロリーにはならない他の必須栄養素、たとえばナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、鉄などのミネラル、あるいは各種ビタミン類は、カップラーメンもしくはハンバーガーだけで足りるだろうか。
図表2を見ていただきたい。チーズバーガー一個には、ナトリウム720mg、カリウム210mg、カルシウム118mg、リン182mg、鉄1.2mgが含まれている。7個食べると、この7倍、ナトリウム5040mg、カリウム1470mg、カルシウム826mg、リン1274mg、鉄8.4mgとなる。
一方、日本人(50歳)の一日に必要な食事由来のミネラル摂取の推奨量は、ナトリウム600mg、カリウム2000mg、カルシウム600mg、リン700mg、鉄10.12mg(経血があるので女性の方が必要量は多くなる)である。
カップラーメンやハンバーガーだけで生活しても、骨や歯のために必要なカルシウム、血液成分の鉄など重要なミネラルが不足することはない(カリウムはやや少なめとなる)。
【食塩摂取は大幅に過剰になってしまう】
しかし、ナトリウムは大幅に過剰摂取してしまうことになる。ナトリウムは食品中では、ほとんど塩化ナトリウム、つまり食塩の形で含まれている。食塩の量は、ナトリウムの量に係数2.54をかけると算出できる。
チーズバーガー7個分のナトリウムは5040mg、これを食塩に換算すると12.80g。日本人の食塩摂取推奨値は、理想的には、1.5g(600ミリグラム×2.54)、高血圧予防のためには、6g未満が推奨されている。
つまり、カップラーメンやハンバーガーだけを食べていると、カロリーやカルシウム、鉄は充足するものの、食塩摂取は大幅に過剰になってしまうのだ。
では、ビタミン類は、どうだろうか。
チーズバーガー1個には、ビタミンA 57μg、ビタミンB1 0.1mg、ビタミンB2 0.15mg、ナイアシン 5.3mg、ビタミンC 1mgが含まれている。7個食べると、この7倍、ビタミンA 413μg、ビタミンB1 0.7mg、ビタミンB2 0.112mg、ナイアシン 37.1mg、ビタミンC 7mgとなる。
日本人の一日のビタミン摂取基準量(50歳)は、ビタミンAは男900μg、女700μg、ビタミンB1は男1.3mg、女1.1mg、ビタミンB2は男1.5mg、女1.2mg、ナイアシンは男14mg、女11mg、ビタミンCは男女ともに100mgとされている。