最新記事
ヘルス

ダイエットする人に知ってほしい 減量を促し認知機能まで向上させるあの「脂肪」のすごい働きとは

2023年5月2日(火)19時10分
マックス・ルガヴェア(健康・科学専門ジャーナリスト)、ポール・グレワル(内科医) *PRESIDENT Onlineからの転載
ステーキ

ステーキは赤身も大事だが脂身も重要だ rocharibeiro - shutterstock


頭が良くなる食事とはどのようなものか。健康・科学専門のジャーナリストであるマックス・ルガヴェア氏と、医師のポール・グレワル氏は「人間の脳はほとんど脂肪でできていて、どんな脂肪を摂取するかで頭の働きが変わる。なかでも一価不飽和脂肪酸には、認知機能が向上するなど、さまざまな効果があることがわかってきた」という――。

※本稿は、マックス・ルガヴェア、ポール・グレワル『脳が強くなる食事 GENIUS FOODS』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

摂取する脂肪の種類で脳の働きは変わる

人間の脳は、ほとんど脂肪でできている。この繊細でダメージを受けやすい臓器の60パーセントは脂肪酸でできている。そして、あなたが摂る脂質の種類が、その時々の脳の機能と、どんな病気が起きやすくなるかを決めるのだ。

脂質は、生活のあらゆる側面で主役級の役割を演じている。意思決定のプロセスや減量、ガンなどの疾患のリスク、老化の速度までも左右する。あなたがこの記事を読み終える頃には、認知機能や実行機能、心の状態を改善し、脳の健康を長期的に保ち、身体全体の健康を促してくれる脂質を含む食品を選ぶことができるだろう。

そして、この記事であなたに伝えたいことは、脂肪の摂取量に関することではない。脂肪の種類だ。

食事から摂取するオメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸などの多価不飽和脂肪酸は、脳をはじめ体内のいたるところに存在している。同じように、脳には一価不飽和脂肪酸も豊富にある。主にこの脂質で構成される油は人体にとって安全である上、たくさんの好ましい影響をもたらすようだ。

一価不飽和脂肪酸を含む食品には、アボカドやアボカドオイル、マカダミアナッツなどがある。また天然のサケや牛肉の脂肪には、この一価不飽和脂肪酸が5割近くも含まれている。だが、一価不飽和脂肪酸を含むものとして最も有名なのは、エクストラバージンオリーブオイル(EVOO)だろう。

ギリシャや南イタリア、スペインなどの地中海沿岸の地域は、パーキンソン病やアルツハイマー病などの神経変性疾患の発症率が低いといわれている。そして、この地域ではエクストラバージンオリーブオイルが究極のソースとして、ステーキや豆、野菜、パン、ピッツァ、パスタ、魚介類、スープ、果てはデザートにまで、たっぷりと使われる。

「一価不飽和脂肪酸」は認知機能を向上させる

この地中海食を続けると、長期的に健康を維持できるだけでなく(認知症の発症リスクを大幅に減らす効果を含む)、脳も大きくなるといわれている。

一価不飽和脂肪酸が豊富に含まれる食品が認知機能に与える効果を確認するため、バルセロナの研究チームが低脂肪の食事(今も広く推奨されている)を、2種類の高脂肪の地中海食と闘わせる実験を行った。

2種類の地中海食の1つは、一価不飽和脂肪酸が豊富に含まれるアーモンドやヘーゼルナッツ、クルミなどの木の実が加えられたものだった。もう1つは、EVOOが、さらにたくさん加えられたものだった。オリーブオイルの多い食事をとる被験者たちは、週に1リットルも摂取した。具体的な数字として、オリーブオイル1リットルのカロリー量は8000カロリー以上──つまり、成人男性に必要なカロリー摂取量の3日分以上だった!

試写会
カンヌ国際映画祭受賞作『聖なるイチジクの種』独占試写会 50名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中