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「減塩でヘルシー」はウソ? 医療界が隠す「塩分たっぷり摂る日本人が長寿」という不都合な真実

2022年11月25日(金)18時10分
大脇 幸志郎(医師) *PRESIDENT Onlineからの転載

「塩が体内でどんな作用をしているか」実はよくわかっていない

最近は医学論文をなんでもかんでも「エビデンス」といって都合のいいところだけつまみ食いするのが流行っていますが、この報告は、それまでにあるすべてのエビデンスを集めて統合したものですから、すべてのエビデンスの上位にあたります。

こういうものを出して「減塩で血圧は下がらないんですよ」というと、減塩教徒たちが大挙しておしよせます。減塩したければ勝手にしていればいいのに、暇人だなあと思います。

よくある反応が、「塩にはかくかくしかじかの作用があるからそんなことはありえない」というパターンです。

これは話の大小をまったくわかっていない言い草で、塩が体内でどんな作用をしていようと(それはじっさいのところ、最新の生理学でもよくわかっていないのですが)、いま興味があるのは血圧です。

「減塩で血圧が下がる」論者はわかっていない

塩の生理作用が無数にあるなかで、それらすべての結果として血圧の変化が現れる(というか、現れない)ともいえます。

たまたまテレビか何かで見た特定の作用にだけ注目して「だから塩は血圧を上げるはずだ」と思ったとしても、じっさいに血圧は上がらないという事実は動きません。

たぶん、血圧を決める要素が無数にあるなかで、テレビでやっていたその作用は、あまり重要ではないのでしょう。

ほかに、「かくかくしかじかの研究では減塩で血圧が下がるというエビデンスが示されている」というのもよくある反応です。

これはわたしが示したデータの意味を理解していません。あらゆる結果を集めたのですから、そのエビデンスとやらも計算に入っているのです。

また多いのが、「減塩の目的は血圧ではなくほかにある」とすりかえるパターンです。

これはあとで触れますが、事実としてまちがっていますし、話をすりかえている点で不誠実です。

血圧は下がるのか下がらないのかが話題なのだから、ほかの健康効果は聞いていないのです。

そして次には「減塩することで健康的な食生活に気をつけるようになるのが目的」といい出します。運動のときと同じですね。あまりにワンパターンで飽き飽きします。具体的な効果が不在のまま、気をつけること自体が目的になってしまうのです。

もともと高血圧な人は減塩で血圧が下がることも

減塩で血圧は下がらないことがわかりましたが、そもそもなぜ血圧を下げたかったのでしょうか。心筋梗塞や脳卒中を防ぎたいからですね。

たしかに血圧を下げる薬の試験で、血圧を下げれば心筋梗塞や脳卒中を先送りにできることが証明されています(注9)。
注9 Lancet. 2021 May 1;397(10285):1625-1636.

そして減塩をしても血圧は下がりません。血圧が下がらないので、病気を防ぐこともありません。

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