「世界でもっとも有名なセレブ女性から電話番号を聞きだす」 ハリウッドの伝説のナンパ師が使った禁断のワザ
ウェイトレスが、前の彼氏は子どもっぽくて別れたと話すと、ジェフリーズはそれを見逃さず、「じゃあ、君はもっと大人の男とデートしなくちゃな」といった。
「ちょうどそう思ってたのよ。あなたみたいな大人の人とって」と彼女が笑うと、「君がこのテーブルに来たときから、君が惹かれるのは私しかいないって思ってたよ」と"洗脳"し、あっさりデートの約束をとりつけた。
ウェイトレスは最後まで、「変なの」「あなたはあたしのタイプじゃないのに」といっているにもかかわらず。──このテクニックを見たPUA志望の男は「悪魔だね」といった。
ジェフリーズは1990年代に『プレイボーイ』誌の三行広告でスピードナンパ術のセミナーを告知する一方で、普及しはじめたばかりのインターネットでも売り込みを行なった。
真っ先にこれに反応したのがハッカーたちで、オンライン会議室に自分たちのナンパ体験(フィールドレポート)を公開し、そこで生み出された数々のテクニックがマニュアル化され、共有されていった。
ミステリーは、そんなインターネットのサブカルチャー(国際的なナンパアーティストの秘密結社)が生み出したヒーローだった。
ナンパマシーンに自己改造
ミステリーは2000年代はじめに、オンライン上のPUAコミュニティに彗星のように登場し、数々のフィールドレポートを発表して、その圧倒的な成功率でたちまち注目を集めた。
出会いからベッドインまでをフローチャートのようにルーティーン化するミステリーのメソッドは、催眠を使ったジェフリーズの手法とはまったく独立に開発されたもので、それ以外にも「横柄さとユーモアの組み合わせ」で女性を支配するとか、「動物並みの性欲」をアピールしてスキンシップをエスカレートさせていくとか、さまざまな流派が登場した。
非モテであることにコンプレックスを抱いていたニールは、有名音楽雑誌『ローリングストーン』のライターという肩書を使って多くのナンパ師とつき合った。ありとあらゆるテクニックを収集して、自分を「最高のPUAたちのパーツを組み合わせて設計されたナンパマシーン」につくり変えようとしたのだ。
仕事もなにもかも放り出して、スキンヘッドにスタイリッシュなジャケット、指輪やネックレスなどのアクセサリー、さらにはフィットネスで「自己改造」したニールは、半年もたたないうちに、ミステリーから相棒と認められる最高クラスのPUAに出世し、「スタイル」と名乗るようになった。
ニールはその後、PUAコミュニティについての記事を『ニューヨーク・タイムズ』に寄稿して大きな評判になり、それを読んだトム・クルーズから『ローリングストーン』誌のカバーストーリーのインタビュアーに指名された(その後、トム・クルーズはハリウッドのセレブが集まるサイエントロジーのパーティにもニールを招待した)。
ブリトニー・スピアーズをナンパする
PUAの知名度を上げ、自らも有名人の仲間入りをしたニールは、ミステリーや仲間たちとともにハリウッドに豪邸を借り、「プロジェクトハリウッド」と名づけて自分たちのメソッドをビジネスにしようとした。
この豪邸には一時期、ニールがインタビューで知り合ったコートニー・ラブ(グランジ・ロックの代表的なバンド「ニルヴァーナ」のボーカリスト、カート・コベインと結婚して一児をもうけたが、コベインの自殺のあとさまざまなトラブルを引き起こした)が転がり込んできたこともあった。
そんなめまぐるしい出来事のなかでも、ニールにとって大きな出来事はブリトニー・スピアーズへのインタビューだった。2000年代はじめだから、ブリトニーが20歳を過ぎてセクシー路線に転換し大成功した頃で、まさに「世界でもっとも有名な女」だった。