その迫力は圧倒的! 世界最大級の油彩画が、北海道の新冠町にある理由とは?
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アートの発信地かつコミュニティの拠点を目指して
さらに、ディマシオ美術館館内には、谷本さんが収集してきたさまざまな作家の作品が展示されている。道産のカラマツがふんだんに使われた内装は、かつての小学校時代のまま。教室や廊下が、展示室として活かされているのだ。心象画家の河島真規子の部屋もそのひとつ。壁一面に広がる「太陽の森」は、美術館がある太陽地区をイメージして描かれた作品だ。
陶芸家の山崎正裕の展示室では、まるで本物のような、ミニチュアのヨーロッパの町並や田園風景に目を奪われる。瓦葺きの家屋や刈り込まれた樹木、教会に集う人々や農場の動物たちなど、陶器で作られているとは思えないほどの精巧さだ。箱庭の中に息づく平和で穏やかな暮らしの光景に、作者の温かな視線が感じられる。
エントランス近くの廊下に展示されているのは、陶芸家のm.yam(エム・ヤム)の作品。イラストレーター出身の彼女が生み出す、可愛らしくも奇抜な世界観は独特だ。作品ひとつひとつにストーリーが込められており、「鳥を放す日」「肉球あわせ」など、ユニークなタイトルにも想像力を掻き立てられる。
ちなみに受付スタッフのひとりは、なんと前身の小学校の出身者。「思い出の場所がこんなふうに蘇るなんて感無量です」と語る。ステンドグラスが埋め込まれたアトリウムで結婚式が行われたり、冬季は元グランドの外庭に氷を張って地元住民参加の運動会を開いたりと、地域の新たなコミュニティの場としても活用されている。
「自分のやりたいことを一生懸命やっていたら、自然と人が集まってくれたのが有り難いです」と謙遜する谷本さんだが、地元での熱心なアピールの甲斐もあって、美術館の来館者もオープン以来6万人を超えた。充実した展示はもちろん、札幌から高速道路を使えば約90分でアクセスできる「ディマシオ美術館」、ぜひ気軽に足を運んでみてほしい。
ディマシオ美術館
●北海道新冠郡新冠町字太陽204-5
http://dimaccio-museum.jp/