自社株買いでストップ高!「日本株」の評価が変わり始めた理由とは?
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<なぜ今、自社株買いが増えているのか。変化を促したのは、2023年に入ってからの東証からの圧力。投資家へのメリットとは...>
自社株買いを実施する企業が増加しています。アイ・エヌ情報センターのレポートによると、2022年に実施された自社株買いの合計額は、前年比42%増の9兆2494億円となり、過去最高額を記録しました。
ところで、なぜいま、自社株買いが増えているのでしょうか? そして、投資家にはどんなメリットがあるのでしょうか? 実は、日本株の評価が大きく変わろうとしているのです。
そもそも「自社株買い」とは
自社株買いとは、「上場企業が自らの資金を使って株式市場から自社の株式を買い戻すこと」を指します。
買い戻した自己株式を消却して無効にすると、発行済み株式数は減ります。すると、1株あたりの配当や利益が増えることから、既存の株主にとっては配分が増えるメリットがあります。
2001年に商法が改正され、それまで禁止されていた金庫株(企業が保有する自社株式)が解禁となり、企業が制限なく自社株を保有したり、消却して無効化したり、再度新株として市場に放出したりすることが自由にできるようになりました。
さらに、取得した自社株は自己資本から外れるため、自己資本は理論上減額されます。すると、自己資本をどれだけ有効に活用して利益をあげているかを図る経営指標、ROE(自己資本利益率)は上昇することになります(支払い利息等は加味しない場合)。
また、企業が自社株買いをするということは、投資家に対して「自社の株価は割安である」とメッセージを送る効果もあります。
自社株買いの3つのパターン
企業が自社株買いを実施する方法はいくつかパターンがあります。
【1】市場内で買い付ける
もっともオーソドックスな方法は、企業が期間や金額の上限を決めて、自社株の取得枠を設定する方法です。取得枠の設定期間中は、企業が自社株を買い付けるとの思惑から株式の需給が引き締まる傾向にあります。
ここで留意すべきは、あくまで「取得枠の設定」なので、株価が高値で推移した場合などは取得枠を使い切らず、実際の買い付け金額が目標に対して未達となる場合もある、という点です。
取得枠の設定や自社株買いの終了といった情報は、東京証券取引所の適時開示情報に随時掲載されます。
【2】立会外取引によって買い付ける
自社株買いに、東京証券取引所の立会外取引の電子取引ネットワークシステム(ToSTNeT)が用いられる場合もあります。
この場合は、寄り付き前などの立会外(たちあいがい=証券取引所の取引時間外)で取引が行われるため、通常の立ち会いに影響を及ぼすことなく、まとまった金額を取引する機関投資家などに利用されます。大口株主が持ち株を売りたいとの意向で、企業と価格などを協議した上で実施することも多いです。
シェアハウスなどの不正により経営危機となったスルガ銀行<8358>は、2020年、家電量販大手のノジマ<7419>とビジネスモデルの転換などを目指すための資本業務提携をしました。ノジマがかつての創業家の持ち株を引き受けて、事業連携を模索していました。
しかし、それが難航したことにより、ノジマから持ち株を売却して資本業務提携を解消したいとの申し入れがありました。リリースによると、2022年3月9日に前日の終値407円で普通株4341万4000株(発行済株式総数の18.5%に相当)を、スルガ銀行が立会外取引で自社株買いを実施しています。