アメリカに初めて「ゴッホの絵画」を輸入した男...2500点の名画を集めた大富豪バーンズの知られざる「爆買い人生」
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自らが開発した消毒薬で年間20万ドルを得ていたバーンズは、「金を儲ける以外のことをしよう」と決意した。そして少年時代に芸術に関心があったことを思い出し、同級生だったグラッケンズに連絡を取った。
2人の友情は、グラッケンズが死ぬまで続いた。気難しいバーンズは、人と衝突することも多かったが、グラッケンズとの関係は違った。バーンズは「友人」と分類した人(ごく一握りだった)には、忠実で寛大で、寛容になれたが、敵と見なした人物は容赦なく残酷に扱った。
成功するための4つの目標
バーンズは若い頃、人生において成功するための具体的な目標を4つ定めた。「重要な発見をすること、100万ドルを得ること、自分が理想とする幸福を実現すること、なんらかのテーマについて、高い教育を受けて多くの経験を積んだ人に匹敵する見識を持つこと」だ。
発見と100万ドルは成し遂げた。幸福については、死ぬまで努力するしかない。だが、優れた見識については、どうしたものか分からなかった。彼が真に専門知識を持つ唯一の分野は医薬品を売ることであり、それに対する関心は薄れ始めていた。
そこでバーンズは、グラッケンズの助けを借りれば、美術の分野で比類なき見識を持てるのではないかと、考えた。そして、善くも悪くも、それを確かに成し遂げた。