「メープルシロップ泥棒」は石油を盗むよりも儲かる...カナダで起きた奇想天外な「珍事件の真相」
A Tale of Stolen Maple Syrup

「主役はみんなに親切にして、いい雰囲気をつくる責任がある」と、マーティンデール MATHEW TSANG/GETTY IMAGES
<名脇役マーゴ・マーティンデールの初主演作はメープルシロップを強奪する中年女性を描くAmazonドラマ『スティッキー〜大シロップ強盗団〜』に──(インタビュー)>
「メープルシロップの1樽が石油1樽よりも高いなんて、知らなかったでしょ」。そう言うベテラン女優のマーゴ・マーティンデール(Margo Martindale)も、ドラマ『スティッキー〜大シロップ強盗団〜(The Sticky)』(アマゾンプライム・ビデオで配信中)に出るまでは知らなかった。
『スティッキー』は、実話を基に伝説のオスカー女優ジェイミー・リー・カーチス(Jamie Lee Curtis)が制作を手がけた新作ドラマ。
エミー賞受賞のマーティンデールが演じるのは、カナダのメープルシロップ農家を仕切るルース・ランドリー。政府に生業を奪われそうになって犯罪に手を染める女性だ。「すごく異質ですごく愉快で、信じられないような人ね」
人を疑うことなど知らなかったルースが、ついには国や組合に一発かます。「しかも彼女は絶望的な状態からのスタート。そこが快感」
ルースはしっかり者だが、もう限界というところまで追い詰められ、やむなく「メープルシロップを盗もうと決意する。「素敵に論理的」だとマーティンデールは笑う。
名脇役として知られるマーティンデールだが、主役を張るのはこれが初めて。でも彼女は主演だろうと助演だろうと仕事が好き。「仕事がなくてぼーっとしている日が続くと、なんでうちのエージェントは電話してこないの? どうかしちゃったの? と思ってしまう」。
本誌H・アラン・スコットが聞いた。
──最初に脚本を手にしたときの感想は?
ジェイミー・リーが電話で「あんたにぴったりの企画がある。やろうよ」と言ってきた。私は「まず脚本を読ませて」と答えた。すると彼女は「いいけど、やるよね」と言い、私が「やるよ、やるけど本を読ませて」と言うと、彼女は「いいけど、あんたはやるんだ」と言った。それで私は「やる」と答えた(笑)。